本記事にはプロモーションが含まれている場合があります
簡単にできる地盤沈下対策とは?工事内容や費用、時間を解説
地震や地下水の汲み上げすぎなどが原因で起こる「地盤沈下」。地面が沈下すると、建物が傾きドアや窓が閉まらなくなるだけでなく、吐き気やめまいなどの悪影響が身体に及ぶ場合があるため、早期に解決する必要があります。
本記事では「新築の場合」と「既存住宅の場合」に分けて、簡単にできる地盤沈下対策や工事内容、費用などについて詳しく解説していきます。
これから物件を建てようと計画している方や今住んでいる家で地盤沈下の可能性を感じている方は、ぜひ参考にしてください。
【新築の場合】地盤沈下の対策3選について
早速ですが、新築の場合における地盤沈下の対策は以下になります。
・地盤改良が不要な土地を見つける
・地盤調査を実施する
・地盤改良工事を行う
それぞれ見ていきましょう。
地盤改良が不要な土地を見つける
新築の場合、最も大切なのが地盤沈下のリスクが少ない土地を選ぶことです。
地盤改良にかかる費用は、一般的に土地価格の5%とだからです。たとえば、土地代が2,000万円かかる場合「2,000万円×5%=100万円」もかかります。
具体的には、以下の条件を満たしている土地を選びましょう。
・周囲よりも標高の高い
・過去田んぼや沼ではない
地盤は標高が高いほど強固です。一方で周囲の土地よりも低いと水がたまりやすいため、地盤が弱くなる傾向があります。河川や池が近い立地条件だと、土地が軟化している恐れがあるため、注意してください。
また、その土地が過去に田んぼや沼であった場合、自然に形成された土地よりも地盤が弱くなります。土地の成り立ちは、国土交通省が運営する国土地理院というサイトからチェック可能です。
〇国土交通省「国土地理院」
一例になりますが、東京ドーム周辺を国土地理院で確認すると以下のように表示されます。
▼東京ドーム周辺
引用:国土地理院
東京ドームの周辺は後背低地・湿地といって周辺よりも低い土地に囲まれていると分かりますね。
〇この地形の自然災害リスク
引用:国土地理院
上記のように、液状化のリスクがあると書かれていますが、地盤沈下も起こりやすい土地と言えるでしょう。そのような土地には家を建てないように事前に確認する必要があるわけです。
地盤調査を実施する
新築を建てる場合は、工務店やハウスメーカーと提携している地盤を調査&改良する業者が対応します。
地盤調査では、建物を建てる前にその地盤がどれくらいの重みに耐えられるかチェックします。家を建てる地盤が弱いと家が傾いたり、地盤沈下したりする恐れがあるため、建物の重さにどれくらい耐えられるか数値化しなければなりません。
個人が地盤業者に直接依頼できないため、住宅会社を経由するのが一般的ですが、業者指定もできる場合もあります。依頼した業者があれば、相談してみてください。
調査にかかる時間は半日から数日間、費用は5万円~30万円くらいが通常です。
地盤改良工事を行う
地盤改良工事が必要と判断されるケースはいくつかあります。たとえば、地耐力(地面が建物を支える力)が20KN〜30KN/㎡以下のときや過去に液状化や陥没(かんぼつ)があったときなどです。
地盤改良が必要な場合、調査費用とは別に50万~数百万円がかかります。日数は2日~3日ほどです。
そのため、調査から改良工事まで実施するとトータルで3日~4日程度。かかっても1週間く
らいです。費用は100万円弱~数百万円くらいと覚えておきましょう。
【既存住宅の場合】地盤沈下の対策について
それに対して今住んでいる住宅で地盤沈下(もしくは地盤沈下と思われる現象)が起きている場合は、地盤改良を行っている業者に相談しましょう。
すでに住宅が建っている場合であっても家の傾きを是正してくれます。
施工方法によってコストや期間はバラバラ。5㎝~10㎝の傾きを直すのには、コストは200万円~1,000万円、期間は1週間~2か月かかります。
参考)
https://rehome-navi.com/articles/2293
無料診断や調査をしている場合もあるので、複数探したうえで気になる業者があれば相談してください。
地盤沈下の工事内容ついて
ここからは地盤沈下の工事内容について深堀していきます。
・新築の場合
・既存住宅の場合
上記に分類してそれぞれ見ていきましょう。
新築の場合
新築の場合には以下の工事内容があります。
・表層改良工法
・柱状改良工法
・鋼管杭工法
表層改良工法
表層改良工法とは、セメント系固化材を入れて地盤を固める方法です。施工がシンプルのため、時間も費用も抑えられるのが特徴です。
2mほど掘れば工事ができるため、土質の種類問わずに対応できます。ただし、地盤の弱い範囲が広い場合に向きません。
柱状改良工法
柱状改良工法とは、その土地の土とセメント系固化材を混ぜて、コンクリート製の柱をいくつも立てて建物を支える方法です。
2m~8mまでの深さを掘れる場合に採用され、戸建てやマンションでよく使われてます。
多くの業者で取り入れられていますが、経験値やスキルの違いによってクォリティに差が出るのはデメリットです。
鋼管杭工法
鋼管杭(こうかんくい)工法とは、鉄製の杭を垂直に打ち込み建物を支える方法です。柱状改良工法と同じように柱を立てますが、セメントではなく鉄製となります。
費用も柱状改良工法と同じくらいですが、地中30mまで補強可能。地盤が弱い土地の場合に向いています。
重量のある建物でもしっかり支えるため、強度が強くなりますが、ほかの工法よりも費用が高くなるのがデメリットです。
既存住宅の場合
工事内容は主に以下の工法が採用されます。
・ダブルロック工法
・旧薬液注入工法
・アンダーピニング工法
・プッシュアップ工法
・曳家工法
部屋の片付けや引越しせずに工事ができる方法もありますが、それぞれの詳細は以下の通りです。
ダブルロック工法
地盤調査結果で地盤が弱いと判断された部分に、セメント系の液状を流してすき間を埋める方法です。時間が経過して新たにすき間が発生するリスクがありませんし、地盤の形状に関係なく対応できます。
従来のアンダーピニング工法よりも費用や期間が半分に済みます。居住したまま施工もすすめられるため、おすすめの方法です。
旧薬液注入工法
基本的にウレタン系の薬液を地盤に流してすき間を埋める方法です。ダブルロック工法と同じように、仮住まいの必要がありませんし、無振動・無騒音と手軽に工事ができます。
唯一のデメリットは、地盤が収縮しやすいため、時間が経過すると再度沈下する恐れがある点です。
まさに、ダブルロック工法の下位互換と言えるでしょう。
アンダーピニング工法
ジャッキを使って傾いた部分を持ち上げて、建物を水平に調整していく方法です。
ジャッキとは、小さい力で大きなものを垂直に持ち上げる機械装置のことです。自動車修理や家屋の移動のときによく利用されているため「地盤改良工事と言えばこれ!」と思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。
地盤の固い層にジャッキを設置して持ち上げて、再度沈下するリスクを抑えた方法ですが、その設置自体が物件の立地条件や地盤の状況によって難しいケースがあります。
プッシュアップ工法
建物をジャッキで持ち上げて、沈下が発生している部分を水平にしてから戻す方法です。地盤沈下の程度が小さい場合に、よく採用される方法です。コストが安く短期間で対応してもらえます。
しかし、地盤補強は行ないないため、根本的な対策ではありません。地盤が弱いと、再度沈下が発生する可能性があるわけです。
曳家(ひきや)工法
建物をいったん別の場所に移動させて、沈下した部分を直して元に戻す方法です。建物を別の場所に移動させる手間や場所は必要となりますが、工事中も普段どおり生活ができるため、不自由は基本的にしません。
道路拡張や土地区画整理などでよく曳家という作業が実施されますが、地盤沈下のときにも活用されます。
地盤沈下の業者選びのときの注意点
最後に、地盤沈下で業者に相談するときのポイントを押さえておきましょう。
・相見積もりを取る
・実績の多い業者を選ぶ
・専任技術者が在籍しているか確認する
ひとつずつ解説します。
相見積もりを取る
業者を選ぶときに相見積もりは欠かせません。相見積もりとは、複数の会社から同条件の見積もりを取ることです。
なぜなら、地盤沈下の工事は専門性が高いため、1社だけだとその金額の相場が見えないからです。過剰に高い金額を請求する悪徳業者も存在するため、3社くらい見積もりを取って費用感を掴んでいきましょう。
相見積もりを取っていれば、値引き交渉もしやすくなるメリットもあります。お得な条件で地盤調査や改良工事を実施してもらうためにも、複数社から見積もりは取っておくのはおすすめです。
実績の多い業者を選ぶ
インターネット上で調べると、地盤調査や改良工事を実施している会社は多くありますが、基本的には実績の多い業者を選びましょう。実績が多い業者であれば、高額費用を請求されて騙されたり、沈下修正工事を失敗したりするリスクが少ないからです。
ホームページに施工実績やお客様の声が豊富に掲載されている業者から優先して選んでください。無料相談を実施している業者であれば、お試しがてら活用するのもいいでしょう。
専任技術者が在籍しているか確認する
地盤調査を正しく実施するには、豊富な知識や経験が必要です。「地盤品質判定士」や「住宅地盤主任技士」「地盤品質判定士」といった専門資格を有する技術者が在籍しているか確認する必要があります。
ホームページにそのような情報が記載されているかチェックしてください。
まとめ
地盤沈下の対策は、新築の場合と既存住宅の場合でアプローチ方法が異なります。新築の場合は、何よりも地盤沈下のリスクが低い土地を選ぶことです。国土交通省が運営している「国土地理院」などを参考にするのがおすすめ。
一方既存住宅の場合は、専門業者にいち早く相談してください。相談は無料でできて、大がかりな作業はせずに対応してくれる業者が多いです。
何社か見積もりを取って、信頼できそうな会社を選んでいきましょう。家が傾いていると身体に悪影響を及ぼすため、放置しておく方がデメリットが多いので急いでくださいね。