【ノロウイルス対処法】発症後の症状や知っておきたい対処法を解説

ノロウイルス対処法イメージ

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ノロウイルスは通年で感染するリスクのあるウイルスですが、例年寒くなり始めた11月頃から流行が始まり、特に冬期に猛威をふるいます。

一度感染してしまうと急激な嘔吐や下痢の症状を引き起こし、感染力も強いため、きちんと対処をしないと家庭内や学校、集団生活をする施設で感染が拡がりやすいのが特徴です。

また、ノロウイルスは1度かかっても再感染したり、二次感染してしまうリスクが高いウイルスとしても知られています。

感染を防ぐためにも、感染してしまった際に周囲の人への二次感染を防ぐためにも、感染経路・予防策・対処法をきちんと理解し行っていくことが大切です。

本記事ではノロウイルスについて、感染経路や対処法について解説していきます。

目次

ノロウイルスとは?

ノロウイルスは人の小腸粘膜内で増殖するウイルスで、「ノンエンベロープウイルス」の一種です。

平成14年までは小型球形ウイルスと呼ばれていました。

ノンエンベロープウイルスはアルコール消毒剤や熱に対する抵抗力が高いことでも知られており、その一種であるノロウイルスも同様です。

主に11月から3月にかけて流行、特に12~2月にピークを迎えますが、通年で感染するリスクがあります。

ウイルスが増殖するのは人の腸内のみですが、乾燥や熱にも強く自然環境下でも長期間生存できてしまうので、身近に潜んでいるリスクも高いです。

感染すると胃腸炎を引き起こします。

感染力も非常に強く、10~100個以下の少量のウイルスでも感染・発症してしまいます。

胃腸炎を引き起こすその他のウイルス、ロタウイルスやアデノウイルスは乳幼児に多く発症しますが、ノロウイルスは乳幼児・成人問いません。

抵抗力の低い乳幼児や高齢者は特に重症化しやすいので気を付ける必要があります。

感染から発症までの潜伏期間は1~2日程度です。

長期免疫が成立しないので、一度完治しても何度も感染します。

ノロウイルスの特徴
  • 通年で発症するが特に冬期に流行する
  • アルコール消毒剤や熱に対する抵抗力が高い
  • 感染力が非常に高い
  • 年齢問わず感染・発症する
  • 潜伏期間は1~2日程度
  • 再感染・二次感染しやすい

ノロウイルスの症状は?

ノロウイルスに感染すると急性胃腸炎を引き起こします。

主な症状は吐き気・嘔吐・腹痛・下痢です。

ノロウイルスは体内に侵入後、小腸の上皮細胞で増殖し、胃の運動神経を低下させたり麻痺させるため上記のような症状が引き起こされます。

胃をひっくり返すような強烈な嘔吐や吐き気が突然起きるのが特徴です。

下痢は水様性下痢で、通常は1日2~3回程度ですが、重症だと1日十数回にも及ぶ場合もあります。

その他、頭痛・発熱・悪寒・筋痛・咽頭痛・倦怠感などの症状があります。

発熱は37~38℃程度の軽度です。

症状は通常2~3日程度で回復し、回復後の経過も良く後遺症も無いことがほとんどです。

が、抵抗力の衰えている人、特に高齢者は脱水症状や体力の消耗により重篤化したり、最悪死に至ることもあります。

症状が回復してもしばらくの間は糞便の中にウイルスを排出し続けるため、二次感染や再感染にも注意が必要です。

また、感染しても発症しない場合もあるので、このような不顕性感染者からの感染拡大にも気を付けなければいけません。

ノロウイルスの感染経路は?

ノロウイルスの感染経路は主に以下の4通りです。

  1. 経口感染
  2. 接触感染
  3. 飛沫感染
  4. 空気感染

経路ごとにどのように感染するか見ていきましょう。

1.経口感染

経口感染がノロウイルスの感染経路で一番思い浮かべる方が多い感染経路ではないでしょうか。

ノロウイルスに汚染された牡蠣(カキ)などの貝類を生で食べたり、よく加熱せずに食べてしまうことで感染します。

上記以外にも調理した人や配膳した人が感染していて、ノロウイルスに汚染された手指で触れられた食材を食べてしまい感染することもあります。

2.接触感染

感染者の便や嘔吐物に直接触れたり、排便後に十分に手を洗わずに触れたトイレのドアノブや便座などに触れることで手指がノロウイルスに汚染されます。

汚染された手で口や鼻を触ってしまうことでそこからウイルスが体内に侵入し感染します。

3.飛沫感染

感染者の嘔吐物が床に飛散した際などに、周囲にいてノロウイルスの含まれた飛沫を吸いこんでしまうことで感染します。

4.空気感染

感染者の便や嘔吐物が適切に処理されず、その場に残存したウイルスが乾燥し、付着した埃などとともに空気中を漂います。

これを吸いこんだり、体に付着して最終的に口の中へノロウイルスが侵入することで感染します。

ノロウイルスの予防策は?

ノロウイルスに一度感染してしまうと2-3日は前述のような症状に苦しめられることになり、仕事や学校も数日休まないといけません。

また、抵抗力の衰えている人は最悪死に至る恐れもあり、決して軽視できる感染症でもないでしょう。

現在、ノロウイルスに有効なワクチンや抗ウイルス剤はありません。

ですが、日頃の予防で感染するリスクを軽減できますので、以下の方法でしっかり予防するようにしてください。

日頃の予防策

ノロウイルスはウイルスを口の中に入れないことが最も重要です。

そのために有効な方法は3つです。

  1. 手洗い・うがい
  2. 十分な加熱調理
  3. 料理場・調理器具・共有箇所の消毒・除菌

手洗い・うがい

ノロウイルスに限らずどんな感染症の予防にも、正しく手洗い・うがいをすることが大切です。

外出先からの帰宅時の手洗い・うがいはもちろんのこと、室内でも普段触れるほとんどのものに様々な菌が付着しています。

食事の前やトイレの後、おむつ交換やそのほか汚物処理の後にも手洗いするように心がけましょう。

手洗いの際には石鹸を使い温水ではなく流水もしくはぬるま湯で、時計や指輪を外し、指先、爪の間、指の間、手首までしっかり洗うようにしましょう。

手洗いの後はペーパータオルや清潔なタオルでしっかり拭くことも大切です。

十分な加熱調理

生食を控え、十分に加熱してから食品を摂取しましょう。

厚生労働省では、85℃~90℃で90秒以上の加熱調理を推奨しています。

料理場・調理器具・共有箇所の消毒・除菌

調理場や調理器具、共有で使用する箇所(主にドアノブやトイレの便座、洗浄レバーなど)でのウイルスへの接触を防ぐためにも正しい消毒方法でウイルスを除去しましょう。

ノロウイルスに対しては、次亜塩素酸ナトリウムによる消毒が有効とされています。

広島県のホームページ(ノロウイルス対策用消毒液の作り方でノロウイルス対策用の消毒液を作る方法の紹介がされていました。

厚生労働省のホームページのQ&A(ノロウイルスに関するQ&A)でも調理台や調理器具の消毒法として次亜塩素酸ナトリウムや加熱処理を推奨しています。

こういったものを参考にしながら対処してみるのも良いでしょう。

また、厚生労働省のホームページ(新型コロナウイルスの消毒・除菌方法について(厚生労働省・経済産業省・消費者庁特設ページ))ではコロナウイルスの対策方法としてテーブルやドアノブなどの消毒には次亜塩素酸ナトリウムが有効としています。

発症した際の対処法は?

しっかり予防をしていても、感染を完全に防ぐことはできません。

では、感染してしまった際にはどのように対処したら良いのでしょうか。

感染してしまった際の対処法

ノロウイルスには有効な抗ウイルス剤が無いため、対症療法をとるほかありません。

吐き気止めや整腸剤、解熱剤などの薬を症状に合わせて使用するのが一般的です。

下痢止めを使用する際はあまり強いものを服用してしまうと、ウイルスが腸内にたまり回復を遅らせてしまう場合があるので注意が必要です。

医師の診察を受け、適切な薬剤を処方してもらい服用するのが良いでしょう。

また、嘔吐や下痢が続くため、脱水症状にも気を付けてください。

こまめな水分補給を意識しましょう。

乳幼児の水分補給には牛乳やジュースなど濃いものを与えたり、一気に飲ませたりすると吐き戻してしまうことがあるので注意しながら与えてください。

脱水症状がひどい場合には点滴などの治療が必要になります。

汚物の処理方法

汚物(排泄物や嘔吐物)には大量のノロウイルスが含まれている可能性が高く、適切に処理をしなければなりません。

以下のポイントを守って処理を行ってください。

  1. 最小限の人数で、直接触れないように処理する
  2. 嘔吐物はすばやく除去する
  3. 感染者の着用した衣類や嘔吐物を処理した人の衣類を適切に洗う
  4. トイレは蓋を閉めて流し、適切に消毒をする

1.最小限の人数で、直接触れないように処理する

嘔吐するとノロウイルスを含んだ水滴が1~2m程度の範囲に飛散するので、飛沫感染のリスクがあります。

そのため、処理をする人以外はむやみに近づかないようにしましょう。

そして処理をする人は、使い捨ての手袋、マスク、エプロン、施設内などの場合はくつカバーなどを着用し、ペーパータオルを使ってできる限り嘔吐物に直接触れないように対策した上で処理してください。

手袋は2枚重ねて着用するとなお良いです。

ペーパータオルが無い場合は、清潔で処分可能なタオルや雑巾でも大丈夫です。

2.嘔吐物はすばやく処理する

嘔吐物をしっかり除去しないと残存した嘔吐物が乾燥し空気中に漂って空気感染を引き起こします。

嘔吐物をすばやく除去し、周辺の壁や床もすばやく洗浄・消毒してください。

3.感染者の着用した衣類や嘔吐物を処理した人の衣類を適切に洗う

感染者が嘔吐した際・嘔吐物を処理した際に飛散した嘔吐物が衣類に付着している可能性が高いので、適切に洗う必要があります。

すぐに洗えないときには衣類をビニール袋などに入れしっかりと袋の口を閉じ周囲を汚染しないようにしましょう。

洗濯のポイントは以下の3つです。

STEP
下洗いをする

洗剤を入れた水の中でノロウイルスが飛び散らないように静かにもみ洗いします。

この際も汚物に吸い込んだり、触れないようにマスク、手袋、エプロンの着用を強くおすすめします。

STEP
リネン類の消毒

0.02%の塩素系漂白剤調整液(塩素系漂白剤を水で薄めたもの)での消毒が有効です。

その後十分にすすぎます。

高温の乾燥機などを使用すると殺菌効果が高まります。

厚生労働省も85℃で1分間以上の熱水洗濯が効果的としているので、熱水洗濯が可能な洗濯機があれば利用すると良いでしょう。

STEP
洗濯した場所の清浄化

下洗いを行った場所も0.02%塩素系漂白剤調整液で消毒し、洗剤を使用して清掃を行いましょう。

トイレは蓋を閉めて流し、適切に消毒をする

トイレを流す際は蓋を閉めずに流すと飛沫が90cm飛散するということが中国の研究で分かっています。

嘔吐、便にかかわらずトイレを使用したらかならず蓋を占めてから流してください。

それでも飛沫が便座や便器に飛散していたり、手指にもウイルスが付着しているため、便座や便器、ドアノブは適切に消毒をする必要があります。

次亜塩素酸ナトリウムを含む消毒液を使用して消毒すると良いでしょう。

汚物の処理手順

前述のとおり汚物(嘔吐物・排泄物等)の処理は適切に行わないといけません。

汚物処理の手順は以下のような流れで行ってください。

STEP
換気・立ち入り制限

汚物の処理時は窓を開けるなど、十分に換気できるようにしましょう。

そして処理を行う人以外が近づけないように配慮してください。

STEP
汚物の凝固・汚物の処理

嘔吐物凝固剤などを用いて汚物を凝固させると汚物が固まるので処理時のノロウイルスの飛散が軽減でき処理しやすくなります。

凝固剤が無い場合もある場合も以下の方法で処理してください。

汚物をペーパータオルなどで覆い、次亜塩素酸ナトリウム液を汚物の量と同量、汚物が飛び散らないように静かに注ぎます。

STEP
汚物の回収

ペーパータオルを使って、汚物を外から内に向けて静かに取り除き、ビニール袋に入れます。

ビニール袋は一次回収用と二次回収用に分けておくとよいでしょう。

この際は一次回収用のビニール袋に入れてください、また、除去の際はペーパータオルの同一面でこすったりすると汚物が拡がるので注意してください。

STEP
使用品と手袋の回収とシューズカバーの清浄化

使用したペーパータオル、外側の手袋を一次回収用の袋に入れます。

次亜塩素酸ナトリウム液に浸したペーパータオル等で、シューズカバー表面・底面に付いた汚物を拭き取ります。

底面の拭き取りはペーパータオルを敷いて足踏みすると良いでしょう。

STEP
一次回収物の清浄化

次亜塩素酸ナトリウム液を内容物がまんべんなく濡れる程度に入れ、袋の口から液が漏れないようにしっかり縛ります。

一次回収用の袋を二次回収用の袋に入れます。

STEP
床および壁の清浄化

汚物を取り除いた床は、ペーパータオル等で覆い、ペーパータオル等が十分濡れるように次亜塩素酸ナトリウム液を注ぎます。

壁は次亜塩素酸ナトリウム液に浸したペーパータオル等を貼り付けます。

10分程度おいた後、新しいペーパータオル等で拭き取り、二次回収用の袋に入れてください。

さらに、次亜塩素酸ナトリウム液に浸したペーパータオル等で汚染範囲の床・壁等を拭き取り、その後、水拭きしましょう。

STEP
感染防止品の取り外し

シューズカバーを外し、次いで、手袋、エプロン、マスクの順に、表面を触らないように外し、その都度二次回収用の袋に回収します。

二次回収用の袋の内側を触らないように注意して、口をしっかり縛り、ゴミとして処分します。

STEP
手洗いとうがい

処理後には手洗いを2度行い、うがいをします。

そして処理を行う人以外が近づけないように配慮してください。

まとめ

ノロウイルスは通年で感染するリスクがあるウイルスで主に冬期に流行します。

感染経路もさまざまで感染力が強く、一度感染してしまうと有効な抗ウイルス剤などもないため、対症療法を行いながら回復を待つしかありません。

また、長期免疫が成立しないので再感染のリスクもあり、二次感染しやすい特徴があります。

そのため、正しい予防をこころがけ、感染経路を断つこと、感染した場合には正しい対処をして感染を広げないことが大切です。

特に、手洗い・うがいはノロウイルスに限らず感染症対策において最も有効とされています。

いつウイルスに触れているか分からないですから、こまめな手洗い・うがいを心がけていきましょう。

この記事は執筆された時点での情報を元に記載されております。文書・写真・イラスト・リンク等の情報については、慎重に管理しておりますが、閲覧時点で情報が異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。 記載内容や権利(写真・イラスト)に関するお問合せ等はこちら

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この記事を書いた人

コロナ禍の真っただ中で第一子を迎えた事を機に、家族を守っていくためにも感染症や感染症対策についての知識をつけていくことの重要性を痛感しました。
医療従事者の妻から意見を得たり、専門書籍や医療機関の発信情報などを漁り、日々感染症への理解を深めています!

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