【アニサキスとは】症状や特徴、予防策は?

アニサキスイメージ アイキャッチ

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私たち日本人は諸外国と比べても、お刺身やお寿司など、魚介類を好んで生のまま食べる文化があります。

この記事をご覧いただいている方でも、お寿司やお刺身が大好きという方が大半なのではないでしょうか。

ですが、魚介類の中にはアニサキス(幼虫)が寄生していることがあり、このアニサキスが生きたまま私たちの体内に侵入してしまうと、食中毒を引き起こす原因となってしまうことがあります。

アニサキスによる食虫毒(アニサキス症)をご自身で完全に予防するというのは難しいお話ですが、予防策や対処法、症状などを認識しておくことで適切な対応や、口にする魚選びができるのではないでしょうか。

そこで、本記事ではアニサキスによる食虫毒の症状や特徴、予防策などを解説していきます。

おいしい魚料理を安全に楽しんでいただくためにも、参考にしてみてください。

目次

アニサキスとは

アニサキスとは、寄生虫(線虫)の一種で、回虫目アニサキス科アニサキス属に属する線虫の総称です。
その幼虫(アニサキス幼虫)は長さ20~30mm、幅0.3~1mm程度で、白色の太い糸のような見た目をしています。

アニサキス幼虫は主に、サバ・アジ・サンマ・カツオ・イワシ・サケ・イカなどの魚介類の内臓周辺に寄生しており、寄生した魚介類が死亡して時間が経過すると内臓から筋肉などに移動することが知られています。

アニサキス幼虫の特徴を以下にまとめます。

アニサキスイメージ
アニサキス幼虫の特徴
形態 半透明な白色で糸のような形状
長さ 約20~30mm
約0.3~1mm
主な宿主 サバ・アジ・サンマ・カツオ・イワシ・サケ・
マス・スルメイカなどの魚介類
主な寄生部位 ・主に内臓表面
・サケやマスの場合は腹部の筋肉内に多く見られる。
・宿主が死亡して時間が経過すると内臓から筋肉に移動する。
生息可能温度 -20℃以上40℃以下で低温に強い

アニサキスの症状は?

アニサキス幼虫が寄生している生鮮魚介類を生の状態や不十分な冷凍又は加熱のものを食べてしまうことで、アニサキス幼虫が胃壁や腸壁に刺入して食虫毒を引き起こします。

アニサキスによる食中毒=アニサキス症はいくつかの症状に分けられます。

それぞれの症状を見ていきましょう。

胃アニサキス症

胃アニサキス症は、アニサキスが口から体内に侵入し、胃の壁に突き刺さることで発症します。

アニサキス症の症例の大半が胃アニサキス症となっています。

経口感染後、数時間経過すると、みぞおち当たりの激しい痛み・吐き気・嘔吐などの症状が現れます。

腸アニサキス症

腸アニサキス症は、アニサキスが口から体内に侵入し、腸に食いつくことで発症します。

経口感染後、十数時間~数日経過すると、激しい下腹部痛、吐き気、嘔吐、発熱などの症状が現れます。

稀に、腸閉塞や腸穿孔に発展し入院が必要になるケースがあります。

消化器外アニサキス症

消化器外アニサキス症は、胃アニサキス症や腸アニサキス症と比べて症例数は少ないです。

経口感染したアニサキスが消化管を突き破り、腹腔へと飛び出て寄生し、寄生した部位に応じた症状を引き起こします。

アニサキスアレルギー

アニサキスに対するアレルギーです。

経口感染後、蕁麻疹、血圧の降下、呼吸不全、意識消失などの症状を伴います。

アニサキスによるアナフィラキシー

アレルギー反応の中でもっとも重症なもののが、アナフィラキシーショックです。

国内のアナフィラキシーショックの原因として、アニサキスは、食物、薬物についで3番目に多いようです。

また、これまで「青魚アレルギー」だと思われていた人が、実は「アニサキスアレルギー」だったというケースが多く見られるようです。

「青魚アレルギーの疑いがあり青魚が食べられない」「原因不明のアナフィラキシーショックを起こしたことがある」という人は、一度アニサキスアレルギーの検査をしてみると良いかもしれません。

予防方法は?

前述の表に挙げているような魚介類の生食は、アニサキス症のリスクが高い食べ方です。

アニサキス幼虫は60℃以上で1分以上加熱するか、-20℃以下で24時間以上冷凍することによって死滅しますので、そのような適切な処理が行われたものを食べるようにすることでアニサキス症を予防することができます。

また、アニサキスは目視にて確認することができる大きさですから、調理するときや食べるときに注意を払うことでも予防が可能です。

前述にもあるように、魚介類の内臓に寄生していたアニサキスは、その魚介類が死亡した直後から内臓を離れ筋肉部へと移動する習性があります。

そのため、ご自身で釣った魚を刺身などの生食用に調理する場合などは、魚が新鮮なうちに内臓を取り除くことで、アニサキスを一緒に排除できる可能性が高く、予防につながります。

その場合も、食べる前にアニサキスのようなものが身に付着していないか確認してから食べるようにすると良いでしょう。

アニサキス予防のポイント

  1. 鮮魚を丸ごと一尾購入した場合もしくは自分でで釣った場合は、良く冷やし、すぐに内臓を取り除く
  2. -20℃以下で24時間以上冷凍する(もしくはされたものを購入する)
  3. 鮮度の低い魚介類は60℃以上で1分以上加熱調理する。

飲食店や販売店の方など、事業者の方は厚生労働省の出しているリーフレット(PDF)もご確認ください。
リーフレット「アニサキスによる食中毒を予防しましょう」:厚生労働省

迷信にも注意!

通常の料理で用いる程度の酢・塩・醤油・ワサビなどの調味料では、アニサキスを殺すことはできません。
そのような迷信を耳にされたことがあっても、決して信用せず、適切な処理をしてください。

また、アニサキス幼虫の表面はなめらかで丈夫ですし、糸のような形状のため、嚙み切るということも困難です。
「噛めばオッケー」などとも決して思わないようにしてください。

冷凍・加熱以外の方法

予防のポイントで上げたような、-20℃以下で24時間以上冷凍はご家庭用の冷蔵庫では正直難しいでしょう。
かといって、毎回加熱調理して食べるようにしてたら、刺身やお寿司が食べられなくなってしまいます・・・。
それはかなりさみしいですよね。
スーパーなどで販売されているような刺身やお寿司は、基本的に適切な処理を行ったうえで店頭に並べられていますから、あまり心配する必要はありません。

自分で釣った魚を持ち帰り、自分でさばいて食べる場合や、鮮魚をまるまる一尾で購入した場合は以下の方法をとることでアニサキス症のリスクを軽減することが可能です。

とにかく良く冷やして持ち帰り、内臓を速やかに除去する

前述のようにアニサキスは内臓に多く存在し、宿主が死んだ時点から筋肉部へ移動します。
ですが、氷漬けに近い状態で冷えていて、鮮度が保たれている場合には基本的に移動しません。
氷が少なくなり、温度が上がってくると身の部分に異動する個体が出始めます。(アニサキスの種類によって異なる)

ですから、漁獲してすぐの状態からしかり冷やされた状態で速やかに内臓を除去すれば、アニサキスの大半は除去できるのです。

ただし、秋鮭のように全身の身にアニサキスが寄生している魚もありますのできちんと調べておく必要があります。

市場の情報を得る

市場では「どの地域のどの魚が虫が多いらしい」などのうわさが拡がりやすいので、そういった情報を得られるようにしておくと、危ない地域や魚種を把握することができるので、より安全に魚選びができるでしょう。
漁師さんや鮮魚を取り扱う料理人さんなどと仲良くなっておくとそのような情報を得ることができるようになるかもしれません。

さばきながら内臓のアニサキスの数を確認する
アニサキス 目視 イメージ



アニサキスは長さが2-3cmあり、幅も0.3-1mm程度で、丸まっている状態だと直径4mm程度になりますので、良く見れば発見できます。
内臓に多くいる個体であれば、腹を開いてすぐに発見できるでしょう。
内臓良く見てみて、数が多くなければ内臓を除去した上で、身を調理する際も良く見て確認すればある程度問題ないでしょう。
確認できる個体数が多いようであれば刺身はあきらめて一度冷凍するか加熱調理してください。

イカや小さめの白身魚は光にかざして目視確認

イカや小さめの白身魚は皮をむいて光にかざせば目視で確認しやすくなっていますので、目視で確認しながら除去することで予防できます。
白身魚は刺身を引いた際に一枚ずつ断面を見てみても良いでしょう。

ブラックライトで見つける

アニサキスはシュードテラノーバという種類のものでなければ、ブラックライトで光ります。
ブラックライトを当てて白っぽく光っている糸状の個体があればそれがアニサキスです。
ただし、身の奥の方や赤みの中に潜んでいる場合には光りませんので、あくまで参考程度に試してみてください。



ここまでご紹介した方法はあくまでもアニサキス症のリスクを0にする方法ではありませんので、心配な方は、料理店や販売店で適切な処理をされたものを購入して食べるようにしてください。

検査方法と治療方法は?

アニサキス症の疑いがある場合は、消化器内科を受診しましょう。

問診を受けた上で、アニサキスが胃に寄生していると思われる場合には胃カメラ検査を行います。
胃カメラ検査でアニサキスを発見した場合は、検査と同時にその場でアニサキスを除去する治療も行うことができます。
アニサキスを除去すれば速やかに症状は収まります。
内視鏡での摘出が難しい場合には、今のところアニサキスを効果的に駆除する薬はありませんので、症状を抑える薬を使いながら、死滅を待つしかありません。

胃を超えてアニサキスが腸に寄生していると思われる場合にはエコーやX線検査、血液検査などを行いますが、アニサキスの存在を証明するのはかなり困難なようです。
この場合も薬で症状を抑えながら死滅を待つしかありません。

アニサキスは数日で死滅しますので、5日ほど経過しても症状が治まらない場合には別の疾患の可能性があります。
その場合は再度医療機関を受診してください。

まとめ

アニサキスは寄生虫の一種であり、アニサキス症の原因となるのはサバ・アジ・サンマ・カツオ・イワシ・サケ・イカなどの魚介類に寄生したアニサキス幼虫です。

アニサキス幼虫に寄生された魚介類を口にすることで、胃や腸にアニサキス幼虫が侵入しアニサキス症を引き起こします。

アニサキス症の予防には、良く冷やし速やかに内臓を除去する・-20℃以下で24時間以上冷凍する・60℃以上で加熱することが有効です。

アニサキス症の疑いがある場合には速やかに消化器内科を受診しましょう。

市販されている刺身やお寿司を購入して食べる分には基本的に心配はないと言えますが、自分で鮮魚をさばいて生食する際は本記事で紹介したようなことに注意してください。

また、厚生労働省のホームページではアニサキス症に関するQ&Aも掲載されておりますので、気になる方はこちらも参考にしてみてください。
「アニサキス食中毒に関するQ&A」:厚生労働省

この記事は執筆された時点での情報を元に記載されております。文書・写真・イラスト・リンク等の情報については、慎重に管理しておりますが、閲覧時点で情報が異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。 記載内容や権利(写真・イラスト)に関するお問合せ等はこちら

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この記事を書いた人

コロナ禍の真っただ中で第一子を迎えた事を機に、家族を守っていくためにも感染症や感染症対策についての知識をつけていくことの重要性を痛感しました。
医療従事者の妻から意見を得たり、専門書籍や医療機関の発信情報などを漁り、日々感染症への理解を深めています!

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