【こどもの感染症】こどもがかかりやすい感染症と感染経路・予防策まとめ

こどもの感染症 アイキャッチ

本記事にはプロモーションが含まれている場合があります

こどもは大人と比べて獲得免疫が未熟なため、さまざまな感染症にかかるリスクがあります。

また、こどもは自分で感染対策をとることもできませんので、周囲の大人がしっかりと対策をし、感染してしまった際には迅速な判断と対処をとれるようにしておくことが重要です。

大切なお子さんを守るためにも、こどものかかりやすい感染症やその予防や対処について認識しておきましょう。

本記事ではこどものかかりやすい代表的な感染症や感染経路、予防策などを季節ごとに解説していきます。

目次

季節別(春夏秋冬)こどもの感染症

まずは季節別にこどもがかかりやすい感染症をみていきましょう。

感染症名をクリックすれば該当の感染症の解説に飛べるのでご活用ください。

など

など

など

など

次に、それぞれの感染経路や症状、予防策を見ていきましょう。

こどもの感染症の感染経路と予防策

溶連菌感染症(春・冬)

溶連菌感染症とは、溶血性連鎖球菌という細菌によって引き起こされる感染症です。


【症状】
主な症状は、発熱やのどの痛み、扁桃腺の赤みや腫れなどです。
また、皮膚感染や心内膜炎、関節炎などの合併症も起こり得ます。

【感染経路】
溶連菌感染症の感染経路は、主に飛沫感染や接触感染です。
潜伏期間は2~5日程度で、診断は、のどの粘液を検査することで行います。
抗菌薬を服用すると1~2日で症状が改善されますが、完全に退治するまでには10日間から2週間ほどかかります。
登園や登校を再開するには、抗菌薬を服用し始めてから24時間以上経過している必要があります。

【治療】
治療は、抗生物質を服用することが基本です。

【予防策】
溶連菌感染症には、残念ながら予防接種は開発されていません。
予防策としては、以下のことが挙げられます。

  • ていねいな手洗い
  • うがい
  • マスクの着用
  • 栄養バランスや睡眠など、体の免疫力を低下させないようにする

ちいさなこどもはマスクの着用もできませんので、ていねいな手洗いの徹底と、バランスのとれた食事をとらせたり、きちんと睡眠をとらせて免疫力が低下しないように気を付けてあげましょう。

溶連菌感染症にかかった場合は、抗生物質を服用する必要がありますから、疑わしい症状がみられるようであれば早めに医師の診察を受けることをおすすめします。

はしか(春)

はしか(麻疹)は、麻疹ウイルスによる急性熱性発疹性感染症です。

【症状】
主な症状は、発熱や咳、目の充血などの症状が現れ、その後、全身に赤い発疹が出てきます。
場合によっては肺炎や心筋炎などの重い合併症を引き起こすこともありますので注意が必要です。

【感染経路】
はしかの感染経路は主に飛沫感染や接触感染で、強い感染力を持っています。
一般的に10日前後で回復すると言われています。
感染力が強いため回復するまで隔離されるケースが多いです。

【治療】
残念ながらはしかを治療する特効薬はありません。
通常は自然に治りますが、前述したような合併症を起こす可能性もあります。
合併症を防ぐためには、十分な休養・水分補給・解熱剤の服用などの対処が必要です。

【予防策】
はしかの予防には、ワクチンの接種が効果的です。
ワクチン接種を受けた人はほとんどはしかにかかりませんし、かかっても大半が軽度で済みます。
はしかの予防接種は、麻疹ワクチンと風疹ワクチンが混合されているMRワクチンを使用します。

定期接種では、1回目は1歳のとき、2回目は小学校入学前の1年間に受けることになっています。
他にも、手洗いやうがいなどの基本的な感染対策を行うことも大切です。

風疹(春)

風疹とは、風疹ウイルスによって引き起こされる急性の発疹性感染症です。

【症状】
主な症状は発熱、赤い発疹、首や耳のリンパ節の腫れ、関節痛などです。
妊婦が感染すると、胎児に重大な影響を及ぼす可能性があるため注意が必要です。

【感染経路】
風疹の感染経路は主に飛沫感染や接触感染で、感染者の唾液や粘液との直接接触や、咳やくしゃみなどで飛び散る飛沫によって感染します。

妊婦から胎児への感染もあります。
一般的に3日前後で自然回復すると言われています。

【治療】
風疹には特効薬はなく、自然治癒を待ちます。
しかし、発熱や関節痛などの症状を和らげるために鎮痛薬や解熱剤を服用するなどの対症療法をとることもあります。

【予防策】
風疹の予防策としては、風疹ワクチンの接種が最も有効です。
日本では、子どもに対して1歳と小学校入学前に2回のワクチンの定期接種が行われています。

また、風疹に感染した妊婦は、先天性風疹症候群の乳児を出産する可能性があります。
そのため、妊娠を希望する女性や妊娠中の女性は、風疹抗体価を検査し、必要な場合はワクチンを接種することが推奨されています。

水痘(春)

水痘(水ぼうそう)とは、水痘帯状疱疹ウイルスというヘルペスウイルスに感染することで発症する感染症です。
ほとんどの場合、子どもに発生しやすく、9歳いかが感染者の90%を占めています。

治癒後には免疫ができます。

【症状】
主な症状は発熱、食欲減退、頭痛、倦怠感や全身の不調、そして皮膚の発疹です。
発疹は3段階で現れることがあります。

最初は隆起したピンクまたは赤の腫れもので、次に液体で満たされた水ぶくれ(水泡)になります。
水泡はかゆみを伴うことが多く、かきむしってしまうと細菌感染や傷跡の原因になることがあります。
最後に壊れた水ぶくれを覆うクラストとかさぶたになります 。

また、皮膚の二次性細菌感染、敗血症、肺炎、脳の炎症などの合併症を引き起こす場合があります。

【感染経路】
水痘の感染経路は主に飛沫感染と空気感染です。
咳やくしゃみなどで飛び散った唾液の粒子に含まれるウイルスを吸い込むことで感染したり、水ぶくれが割れた時に出る液体に含まれるウイルスが乾燥して空気中に浮遊し、それを吸い込むことで感染してしまいます。

一般的に1週間から10日前後でで自然回復すると言われています。
完治の目安は、水ぶくれが全てかさぶたになっているかどうかです。

登校や登園を再開するには、かさぶたが全て落ちるまで待つ必要があります。

【治療】
治療法は、主に対症療法です。
かゆみや発熱を和らげるために、塗り薬や抗ヒスタミン薬、解熱剤などを使います。

12歳以上や成人の場合は、抗ウイルス薬を服用することもあります。
重篤な合併症が起こる場合は、入院して点滴治療が必要になることもあります。

【予防策】
水ぼうそうの予防策としては、水ぼうそうにかかっている人との接触を避けることが基本です。
しかし、集団生活をしている場合は難しいかもしれません。

その場合は、ワクチン接種が効果的です。
日本で開発された水痘生ワクチンは、100人中90人以上に有効で、水ぼうそうに対する抗体を作ります。

おたふく風邪(春)

おたふく風邪は、ムンプスウイルスに感染することで発症する感染症です。
子どものころにかかることが多く、耳の下が腫れるのが特徴的な症状です。
大人になってからかかると、重い合併症を引き起こす可能性があります。

【症状】
主な症状は、発熱と耳下腺や顎下腺の腫れです。
その他に、頭痛や倦怠感、食欲の低下、筋肉痛などの症状が出ることもあります。
通常、症状が現れ始めてから48時間以内にピークを迎えます。

また、無菌性髄膜炎、睾丸炎、卵巣炎、乳腺炎、すいそう、難聴などの合併症を引き起こす場合があります。
これらの合併症は、おたふく風邪ウイルスが血液やリンパ液で全身に広がったり、免疫系の反応で起こったりします。

【感染経路】
おたふく風邪の感染経路は主に飛沫感染と接触感染です。
通常は、1〜2週間で主な症状は治まりますが、合併症が起きたり後遺症が残ったりする可能性もありますので注意が必要です。

登園や登校の再開は、耳下腺や顎下腺が腫れたあとに5日間控える必要があります。

【治療】
おたふく風邪には特別な治療法はありませんが、対症療法で症状を和らげることができます。
おたふく風邪の対症療法では、鎮痛解熱剤をつかったり、暖かい・冷たい圧迫などで、自然治癒力を高めるたりします。

また、柔らかく消化の良い食べ物や、こまめに水分を摂ることも大切です。

【予防策】
おたふく風邪の予防策としては、ワクチン接種が有効です。
ワクチンは1歳以上で2回接種することができ、9割の人に効果があります。

おたふく風邪にかかったことがない場合や抗体ができているか不安な場合は、抗体検査を受けることもできます。

ヒトメタニューモウイルス感染症(春)

ヒトメタニューモウイルス感染症は、ヒトメタニューモウイルスというウイルスによって引き起こされる呼吸器の感染症です。

乳幼児や高齢者に多くみられ、重症化すると気管支炎や肺炎になることもあります。

【症状】
主な症状は、鼻水、発熱、咳などがみられることが多いく、まれに、嘔吐や下痢など胃腸炎のような症状や頭痛、意識障害などが出ることもあります。

【感染経路】
ヒトメタニューモウイルス感染症の感染経路は、主に飛沫感染と接触感染です。
咳やくしゃみなどで飛び散ったウイルスを吸い込んだり、ウイルスが付着した手やタオルなどに触れて口や鼻を触ったりすると感染する可能性があります。

発熱後1~4日でウイルスの量が多くなり、1~2週間排泄されるといわれています。
症状自体は、1週間程度で症状は治まることがほとんどですが、1回の感染では十分な免疫が獲得できないため、何度か再感染する可能性があります。

【治療】
ヒトメタニューモウイルス感染症の治療は、対症療法が中心で、特効薬はありません。
熱や咳などの症状に応じて、解熱剤や咳止めなどを服用します。

重症化した場合は、入院や酸素吸入などの治療が必要になることもあります。

【予防策】
ヒトメタニューモウイルス感染症には残念ながらワクチンや特効薬がありません。
感染経路は主に飛沫感染や接触感染なので、感染対策の基本である以下のことを心がけましょう。

  • 手洗いやうがいをこまめに行う
  • マスクを着用する
  • 人混みや密閉空間を避ける
  • 栄養バランスや睡眠時間に気をつける。

りんご病(春)

りんご病とは、ヒトパルボウイルスB19というウイルスが原因で起こる感染症です。

正式な病名は「伝染性紅斑(でんせんせいこうはん)」といいます。

頬がりんごのように赤くなることから、りんご病と呼ばれています。

【症状】
主な症状は、頬や体に赤い皮疹が出ることです。
皮疹は一週間ほどで消えますが、かゆみや痛みはありません。

大人がかかった場合は、手足に発疹が出やすいです。

【感染経路】
りんご病の感染経路は、咳やくしゃみなどの飛沫感染や接触感染です。
感染者が触ったものや、手指を経由してウイルスが鼻や口に入ることで感染します。

発疹などの症状が出てから約2~3週間ほどで回復すると言われていますが、まれに数か月~数年と長い期間続くこともあります。

【治療】
りんご病に特効薬はありません。
発疹やかゆみなどの症状を和らげるための対症療法が行われます。

重症の場合は、解熱鎮痛薬や免疫グロブリン、点滴補液などが必要になることもあります。

【予防策】
りんご病には予防のためのワクチンはありませんので、手洗いやマスクなどの基本的な感染対策を行うことが大切です。

ヘルパンギーナ(夏)

ヘルパンギーナとは、コクサッキーウイルスの一種が原因となって起こるウイルス性疾患で、夏に流行しやすい感染症です。

口やのどに小さな水ぶくれができて痛みを伴います。

乳幼児に多く見られますが、大人もかかることがあります。

【症状】
主な症状は、38度以上の高熱、口やのどに小さな水ぶくれや潰瘍ができて痛みを伴う、咳や鼻・喉の炎症、下痢などがあります。

ヘルパンギーナは自己制限性の感染症で、通常は数日で治りますが、脱水や神経学的合併症などのリスクがあるため、注意が必要です。

【感染経路】
ヘルパンギーナの主な感染経路は、飛沫感染と接触感染です。
潜伏期間はおおよそ3~6日間です。

発症後1週間程度で自然に回復します。

【治療】
ヘルパンギーナに特効薬はありません。
症状を和らげるために、解熱鎮痛薬や局所麻酔薬などの対症療法が行われます。

また、のどが痛く食事がしにくいことがあるため、その場合は冷たい飲み物やアイスクリームなどを食べて冷やすことで痛みが和らいだりします。
ただし、冷たいものを摂ると体温が下がりやすくなるので発熱している場合は注意してください。

【予防策】
ヘルパンギーナには予防のためのワクチンはありませんので、感染している子どもとの接触を避け、手洗いや手指消毒、うがい、マスクの着用、身の回りのものの消毒などの基本的な感染対策を行うことが大切です。

手足口病(夏)

手足口病とは、コクサッキーウイルスA6(CA6)、コクサッキーウイルスA16(CA16)、エンテロウイルス71(EV71)などのノンエンベロープウイルスが原因となって起こるウイルス性疾患で、夏に流行しやすい感染症です。

ほとんどの場合は軽い症状で治りますが、まれに重い合併症を起こすこともあります。

例年、5歳以下の幼い子どもが報告患者の90%を占めていますが、まれに大人にも感染します。

【症状】
主な症状は、手や足、口の中に水ぶくれや発疹ができます。

その他にも、発熱、喉の痛み、食欲不振などがあります。

【感染経路】
手足口病の感染経路は主に飛沫感染・接触感染・糞口感染です。
特に手足口病が発症しやすい年齢層の子どもが手段生活をしているような、保育園や幼稚園などでは感染が拡大しやすいため注意する必要があります。

また、乳幼児は感染経験がないことが大半なので、感染するとほぼ発症してしまいます。
潜伏期間は3~5日程度です。

発疹はかさぶたを残さず、3~7日で消えて完治します。
一般的に軽症ですが、まれに重症化することもあります。

【治療】
手足口病に特効薬はありません。
治療は、発熱や口内炎の痛みを和らげるための対症療法が主体です。

安静にして、水分や栄養をしっかりとることが大切です。

【予防策】
手足口病には予防のためのワクチンはありませんので、感染者との接触を避け、手洗いうがい、マスクの着用、などの基本の感染対策を行うことが大切です。

咽頭結膜熱(夏)

咽頭結膜熱とは、アデノウイルスの感染によって引き起こされる病気です。

小児に多く見られますが、大人にも感染する可能性があります。

【症状】
主な症状は、高熱、のどの痛み、目の充血などです。

【感染経路】
咽頭結膜熱の感染経路は、飛沫感染や接触感染です。
鼻水、目やに、便などにいるアデノウイルスが鼻、喉、目に入って発症します。

タオルの共用や手指を介した間接接触でも感染が広がります。
潜伏期間は5~7日程度で、発症後は、数日~1週間程度で回復します。

【治療】
咽頭結膜熱にはウイルスに効果的な治療薬がありません。
対症療法として、解熱剤や鎮痛剤、目薬などを使用します。

多くの場合は数日から1週間程度で自然に治ります。

【予防策】
咽頭結膜熱の予防策としては、以下のことが挙げられます。

  • 飛沫や手指を介して感染するので、十分な手洗いと手指消毒をする。
  • 感染者との密接な接触を避ける。
  • プールで泳ぐ場合は、水中メガネやゴーグルを着用する。
  • タオルや食器などの共用を避ける。

流行性角結膜炎(夏)

流行性角結膜炎とは、アデノウイルスによる目の感染症です。
目が腫れて充血し、涙や目やにが出ます。

長引くと視力低下の原因になることもあります。
感染力が強く、手を介してうつりやすいです。

【症状】
主な症状は、目のひどい充血、目のごろごろ感、目やになどです。
耳前リンパ節が腫れたり、風邪のような症状が出たりすることもあります。

場合によっては視力低下を引き起こすこともあるので注意が必要です。

【感染経路】
流行性角結膜炎の感染経路は、主に手を介した接触感染です。
ウイルスに汚染された手で目をこすったり、タオルやメガネなどの物品を共用したりすると感染する可能性があります。

症状は1~2週間程度で自然に回復します。

【治療】
流行性角結膜炎の治療法は、ウイルスに効果的な薬がないため、対症療法として炎症を抑える目薬を使用しながら、自然に治るのを待つことになります。

通常は1-2週間程度で治りますが、場合によっては視力低下の後遺症が残ることもあります。

【予防策】
流行性角結膜炎の予防策としては、以下のようなことが挙げられます。

  • アデノウイルスに汚染された環境をアルコールなどで消毒する
  • 手袋を着用して手指を介する感染経路を遮断する
  • 感染した人との接触を避ける
  • タオルやメガネなどの物品を共用しない
  • 手洗いやうがいを徹底する

これらの予防策は、自分だけでなく周囲への感染も防ぐことができます。

インフルエンザ(秋・冬)

インフルエンザとは、インフルエンザウイルスに感染して起こる感染症です。

インフルエンザウイルスにはA型、B型、C型、D型の4種類がありますが、主にヒトに流行を起こすのはA型とB型です。

インフルエンザは毎年11月頃から4月頃まで流行する傾向があります。

【症状】
主な症状は、突然に起こる38度以上の発熱、頭痛、結膜の充血の他、筋肉痛や関節痛、倦怠感などの全身症状もみられます。

【感染経路】
インフルエンザの感染経路は、主に飛沫感染と接触感染ですが、空気中に浮遊する小さなウイルス粒子(エアロゾル)を吸い込んで感染する空気感染も否定できません。
1~3日の潜伏期間がありますが、この間にも周りの人にうつす可能性があります。

回復期間は個人差がありますが、一般的には発症後約1週間〜10日ほどで症状がおさまるといわれています。
解熱後から3日間かけてウイルスを排出するので、解熱後5日が確実な回復の目安となります。

ただし、二峰性発熱という現象もありますので、注意が必要です。

【治療】
インフルエンザの治療には、抗インフルエンザウイルス薬が用いられることがあります。
抗インフルエンザウイルス薬は医師の処方が必要で、発症から48時間以内に服用すると効果的です。

また、安静にして十分な休養をとり、水分をたっぷり飲んだりすることも大切です。

【予防策】
インフルエンザの予防策としては、以下のことが挙げられます。

  • インフルエンザワクチンを受ける
  • 手洗いをこまめにする
  • 室内の湿度と温度を適切に保つ
  • 健康的な食事と睡眠をとる

インフルエンザワクチンは、A型(H1N1, H3N2)、B型(山形系統、ビクトリア系統)の4種類のウイルスに対して効果があるように作られています。
毎年10月から12月までの間に受けることが推奨されています。

手洗いは、インフルエンザウイルスが付着した手で目や鼻などの粘膜に触れることで感染するリスクを減らすために重要です。
手洗いは石鹸と水で行い、タオルやドライヤーでしっかり乾かしましょう。

室内の湿度と温度は、インフルエンザウイルスが伝播しにくくなるように50~70%程度、20~25℃程度を保ち、加湿器や空調機器を利用する場合は清潔に保つことも忘れずに。
健康的な食事と睡眠は、免疫力を高めてインフルエンザにかかりにくくするために必要です。

タンパク質や鉄分、カリウム、抗酸化物質などが豊富な食品を摂りましょう。
また、コーヒーやジャンクフードなどは控えましょう。

RSウィルス感染症(秋)

RSウイルス感染症は、RSウイルスの感染による呼吸器の感染症です。

主に幼い子どもが感染し、発熱やせきなど、かぜに似た症状が出ます。

重症化すると肺炎や気管支炎になることもあります。

【症状】
主な症状は、発熱、咳、鼻水、倦怠感などの風邪に似た症状が見られます。
しかし、重症化すると強い咳や喘鳴(ゼーゼーと音のする呼吸)などの気管支や肺の炎症が起こります。

乳幼児は特に重症化しやすく、入院治療が必要になることもあります。
RSウイルス感染症は風邪とよく似ているため、見逃しやすいですが、正しいタイミングで医師に相談することが大切です。

【感染経路】
RSウイルス感染症の感染経路は、主に飛沫感染と接触感染です。
潜伏期間は2~8日で、4~6日間のことが多くなっています。

回復期間は症状の重さによって異なりますが、一般的には数日から2週間程度です。
ただし、乳幼児や高齢者などでは長引くこともあるのでしっかりと経過を観察する必要があります。

【治療】
RSウイルスには有効な抗ウイルス剤がなく、主な治療法は対症療法です。
重症化した場合には、酸素投与、補液(点滴)、呼吸管理が行われることもあります。

【予防策】
RSウイルスの予防策としては、以下のことが挙げられます。

  • 手洗いやうがいなどの基本的な感染予防対策を行う
  • 咳エチケット(咳やくしゃみをするときは、ティッシュやマスクで口と鼻を覆う)を守る
  • 人混みや乾燥した場所を避ける
  • 重症化しやすい乳幼児には、流行期に合わせて抗体製剤(パルビズマブ)の注射を受ける(医師の判断による)

現在、RSウイルスに対する有効なワクチンはありませんが、開発が進められています。

ノロウイルス感染症(秋・冬)

ノロウイルス感染症とは、ノロウイルスに感染することによって引き起こされる急性の胃腸炎のことです。

【症状】
主な症状は、吐き気、嘔吐、下痢、腹痛です。
発熱や頭痛、悪寒、筋肉痛なども見られることがあります。

【感染経路】
ノロウイルス感染症の感染経路は、主に以下の4つがあります。

  • 経口感染:ノロウイルスに汚染された食品や水を飲食することで感染します。
  • 接触感染:感染者のふん便やおう吐物に直接触れたり、それらが付着した物品に触れたりすることで感染します。
  • 飛沫感染:感染者のおう吐物が飛散した際に、周囲にいてノロウイルスの含まれた飛沫を吸い込むことで感染します。
  • 空気感染:感染者のふん便やおう吐物が乾燥し、付着したほこりとともに空気中を漂い、それを吸い込むことで感染します。

潜伏期間は1日~2日で、発症後は多くの場合、1〜2日で症状は治ります。
しかし、ウイルスが体から排出されるのは、症状が治ってからも2〜3週間かかることがあります。
その間は他の人に感染させる可能性があるので、手洗いや消毒などの予防対策を徹底する必要があります。

【治療】
ノロウイルスに対するワクチンや特効薬はありません。
治療は水分補給や解熱剤などの対症療法が中心です。

脱水を防ぐために、経口補水液やカフェインやアルコールを含まない飲み物をこまめに飲むことが大切です。
重症化した場合は、点滴治療が必要になることもあります。

【予防策】
ノロウイルスの予防策としては、以下のことが挙げられます。

  • こまめな手洗い。特に食事前やトイレ後、外出から帰った後などは必ず石鹸で手を洗う。
  • 食品の加熱。食品に付着したノロウイルスを死滅させるためには、中心温度85℃~90℃、90秒以上の加熱が必要。
  • 調理器具や食器の消毒。調理器具は洗剤で洗浄した後に熱湯か塩素消毒液で消毒する。食器は分け使いするか、塩素消毒液で消毒する。
  • 患者や嘔吐物・排泄物との接触を避ける。患者や嘔吐物・排泄物が付着したものに触れた場合はすぐに手を洗う。

また、ノロウイルスなどのノンエンベロープウイルスはアルコール消毒剤の効き目が弱く、次亜塩素酸ナトリウムによる消毒が有効とされています。

ロタウイルス感染症(秋・冬)

ロタウイルス感染症とは、ロタウイルスに感染することで生じる急性胃腸炎のことです。

ロタウイルスは小腸の腸管上皮細胞に感染し、微絨毛の配列の乱れや欠落などの組織病変を起こします。

ロタウイルスには、ほぼすべての小児が3~5歳になるまでに感染するといわれています。

生後3か月以前の感染では無症状のことが多く、それ以降に感染すると何らかの症状を呈します。

【症状】
主な症状は、水のような下痢、吐き気、嘔吐(おうと)、発熱、腹痛です。
脱水がひどくなると点滴や入院が必要になることもあります。

【感染経路】
ロタウイルスの感染経路は主に糞口感染です。
感染した人が排泄した便に含まれるウイルスが、手や食べ物、物や水などを介して別の人の口に入ります。

ロタウイルスは感染力が非常に強く、ごくわずかなウイルスで感染してしまいます。
潜伏期間は2~4日で、発症後は3日~8日程度で回復します。

【治療】
ロタウイルス感染症の治療には、特効薬はありません。
主に、脱水を防ぐための水分補給や栄養補給が重要です。

重度の脱水の場合は、点滴が必要になることもあります。
また、整腸剤を使うことで、下痢や腹痛を和らげることができます。

【予防策】
ロタウイルスの予防策としては、以下のことが挙げられます。

  • トイレの後には、必ず手を洗う
  • こどもへの経口予防接種
  • 緊張をほぐすために適切な食事をつくる。
  • 嘔吐や便の適切な消毒処置
  • 汚れた衣類の消毒

しかし、ロタウイルスは完全に感染を予防することは困難とされています。

まとめ

こどもはこれだけの感染症にかかるリスクにさらされています。

大切なお子さんの健康を守るためにも予防接種の受けられる感染症はしっかりと予防接種を受けさせてあげることをおすすめします。

予防接種の受けられない感染症の多くは、手洗い、うがい、マスクの着用、身の回りの消毒など、基本的な感染対策を徹底することで大程度予防が可能であり、本記事で挙げた感染症以外のものも含めた多くの感染症の予防にも手洗いうがいが最も有効とされています。

感染症の中には重篤な合併症を発症したり命を落としてしまうようなものもありますので、お子さんに限らずご家族の命と健康を守るためにも日ごろからの予防を心掛けていきましょう。

この記事は執筆された時点での情報を元に記載されております。文書・写真・イラスト・リンク等の情報については、慎重に管理しておりますが、閲覧時点で情報が異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。 記載内容や権利(写真・イラスト)に関するお問合せ等はこちら

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

コロナ禍の真っただ中で第一子を迎えた事を機に、家族を守っていくためにも感染症や感染症対策についての知識をつけていくことの重要性を痛感しました。
医療従事者の妻から意見を得たり、専門書籍や医療機関の発信情報などを漁り、日々感染症への理解を深めています!

目次