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【RSウィルスとは】症状や感染経路、予防策は?
RSウィルスは2歳までにほとんどの乳幼児が1度は感染するウィルスです。
RSウィルスに感染すると呼吸器感染症を引き起こし、これをRSウィルス感染症と言います。
以前は9月ごろから流行が始まり、初春ごろまで続くとされていましたが、2011年以降は7月ごろから流行する傾向がみられていました。
2020年は新型コロナウィルスの流行による社会活動の減少もあってか、通年で流行はありませんでしたが、2021年は5月ごろから流行が拡大し
7月半ばには東京都の定点医療機関あたりの患者報告数が、2018年、2019年同時期の10倍以上に達しました。
以後、患者の報告数は減少していきましたが、今年も決して油断はできないでしょう。
特に小さなお子さんがいらっしゃる方は注意が必要です。
本記事ではRSウィルスとはどのようなものなのか、また、RSウィルスの感染経路や対策について解説していきます。
RSウィルス感染症とは
RSウィルス感染症とは、RSウィルスに感染することで引き起こされる急性呼吸器感染症のことを言います。
発症は特に乳幼児期に多く、一度感染していても、二度、三度と何度も感染・発症を繰り返します。
生後1歳までに半数以上の乳幼児が感染、2歳までにはほぼ100%の乳幼児が感染すると言われています。
前述したように以前は9月ごろから流行が始まり、初春ごろまで続くとされていましたが、2011年以降は7月ごろから流行する傾向がみられています。
2021年は5月ごろから感染が拡大し始めました。
感染力も非常に強いため、幼稚園や保育園など施設内での集団感染も多く、注意が必要です。
また、RSウィルスは乳幼児のみに感染するウィルスではないことも認識しておいてください。
成長した子供から大人まで年齢を問わず感染しますが、風邪の症状と見分けがつきにくいので、感染に気づかない場合も多いです。
そのため、感染した大人が気づかないうちに乳幼児に移してしまっているということも少なくありません。
RSウィルス感染症の症状と感染経路は?
症状について
RSウィルスの潜伏期間は2日から1週間程度(通常4,5日)です。
主な症状としては鼻水や咳、発熱などの症状が数日間続きます。
軽症(軽い風邪に似た症状)で済む場合が多いですが、重症化して肺炎や気管支炎などに進展し入院が必要になる場合もあります。
大人の場合は感染しても、たいていは軽い風邪の症状ですんでしまいますが、新生児や乳幼児が感染すると重症化しやすい特徴があります。
実際にに乳幼児の肺炎の50%はRSウィルスによるもので、細気管支炎に至ってはその原因の50~90% がRSウィルスと言われています。
感染が初めての乳幼児の約7割は鼻水などの上気道炎症状のみで数日のうちにある程度回復しますが、一方で約3割は悪化してしまう傾向です。
悪化すると呼吸の際に「ゼーゼー」や「ヒューヒュー」のような喘鳴(ぜいめい)がしたり、息を吸い込む時に胸のあたりがペコペコとへこむ陥没呼吸や呼吸困難で鼻やくちびるなどが青黒くなるチアノーゼがみられたりします。
生後4週未満だと、軽症でも突然無呼吸発作を起こすことがあり、乳幼児突然死症候群の原因の一つとも考えられています。
また、早産や低出生体重の乳児、生後6か月未満の乳児、生後24ヶ月以下で心臓や肺に基礎疾患がある乳幼児、神経・筋疾患や免疫不全の基礎疾患のある乳幼児者の場合重症化するリスクが高まりますので、より一層の注意が必要です。
重篤な合併症としては、無呼吸発作、急性脳症などがあげられます。
【重症化リスクの高い乳幼児】
- 生後6か月未満の乳児
- 早産・低出生体重の乳児
- 先天性心疾患のある乳幼児
- 慢性肺疾患のある乳幼児
- ダウン症の乳幼児
- 免疫不全症の乳幼児
など
感染経路について
RSウイルス感染経路は主に「飛沫感染」と「接触感染」です。
感染者の咳やくしゃみ、又は会話をした際に飛び散るしぶきを吸い込むことによる飛沫感染や、感染している人との直接の濃厚接触、ウイルスがついている手指や物品(ドアノブ、手すり、スイッチ、机、椅子、おもちゃ、コップ等)を触ったり、なめたりすることによる間接的な接触感染で感染します。
RSウイルスが麻疹や水痘、結核のように空気感染(飛沫核感染)するといった報告はないとされています。
RSウィルスに感染してしまった場合の対処法は?
RSウィルスには有効な抗ウィルス剤がないため、基本は対症療法をとりながら回復を待つしかありません。
去痰薬、解熱薬、理学療法(痰を出しやすくする体位を取らせたり、吸入をしたりする)を行います。
体力の回復を助ける薬を内服したり、吸入などの処置で呼吸状態の改善をしたり、自身の免疫力で良くなるように対処します。
重症化した場合には、酸素投与、補液(点滴)、呼吸管理などの支持療法を中心に行います。
現在、重症化のリスクの高い乳幼児に対しては、重症化の抑制薬(シナジス=抗RSウィルスモノクローナル抗体)を予防投与することが認められていますが、対象となるのは在胎36週未満の早産の新生児、および慢性肺疾患や先天性心疾患のある乳幼児です。
受診のタイミングは?
RSウィルス感染症の多くは風邪のような症状なので、初期段階でRSウィルスの感染を見分けるのは困難です。
お子さんに感染の疑いがある場合にどのタイミングで医療機関に受診させたら良いのか悩まれる親御さんもいらっしゃるでしょう。
ですが、早い段階で医療機関を受診することで、重症化のリスクを抑えられる可能性は高くなります。
かぜのような症状が見られる・熱が38度以上に上がる・呼吸が浅く速くなる・ゼイゼイと咳がひどく眠れない・痰が詰まる・顔色が悪い・急にぐったりするなどの症状が見られるようであれば、夜間でも小児科医のいる病院へ受診しましょう。
特に、前述したような生後6か月未満のお子さんや疾患のあるお子さんは注意が必要です。
熱が 38 度以上でも、水分が摂れていて、普段よりは元気がない、程度であればおうちで様子をみても大丈夫でしょう。
【RSウィルス感染症の受診の目安になる症状】
- 熱が3、4日続く
- 呼吸が苦しそう・肩や全身を使って呼吸している
- 呼吸が浅く、速い(新生児で1分間に60回以上、乳児で40回以上)
- 顔色が悪い
- 嘔吐がある
- 水分摂取ができない
- 「ゼーゼー」などの喘鳴があり、咳が続き眠れない
- 機嫌が悪く、泣き叫ぶ
- 急激にぐったりする
- 痰が詰まる
感染が心配なときや、受診を迷っているとき、夜間や求人に受診される際は事前に小児科医のいる病院に連絡し相談すると良いでしょう。
RSウィルス感染症の検査方法は?
診察の結果RSウィルスの感染の疑いがある場合、RSウィルス感染症の判別をする検査が行われます。
検査方法は鼻の穴に細いめん棒を挿入して鼻粘膜のぬぐい液を採取し、検査キットで確認するもので、結果は10分~15分程で診断が可能です。
RSウィルスの検査は基本的に保険適用外で実費負担になります。
そのため、RSウィルスの検査は感染が疑われるすべての患者に対しては積極的に行われるものではありません。
以下の条件に1つでも該当する場合でRSウィルスの感染の疑いがある場合には保険が適用されます。
【保険が適用される条件】
- 入院中である
- 満1歳未満
- シナジス(パリビズマブ製剤)を使用している乳幼児
特に生後1〜2か月の新生児でRSウイルス感染症の疑いがある場合には、無呼吸発作などの重篤な症状を引き起こす危険があるため、入院し経過観察が必要かどうかを判断するためにも積極的に検査が行われます。
また、その他入院が必要な程度の症状のある場合も検査を行います。
1歳以上の幼児に関しては重症化のリスクが低く、特別の治療法もないことから、治療方針を決定する上でRSウイルス迅速検査で感染を特定する必要性はほとんどありません。
かといって、受診させなくても大丈夫ということではありません。
適正な対症療法をとる必要がありますから、お子さんの病態を冷静に把握し、かかりつけ医などに相談しましょう。
家庭できることは?
前述したようにRSウィルス感染症は直接の治療薬はなく、対症療法をとるが基本です。
症状に応じて医師から症状を緩和したり体力の回復を助けたりする薬が処方されます。
薬が処方された場合にはしっかりと服用させ、安静にして体を休ませながら回復を待ちましょう。
入院の必要が無い場合におうちでできるケアは以下の通りです。
【家庭でできるケア】
- 処方された薬はしっかり服用
RSウイルス感染症の症状を緩和したり、体力の回復を助けるためのものなので、処方された薬は正しく服用させましょう。
乳幼児で飲むのを嫌がる場合はミルクやヨーグルト、ココアなどに混ぜて飲ませてあげると良いでしょう。
- こまめな水分を補給
発熱すると汗をかきやすくなり脱水状態になりやすいので、こまめに水分補給をさせましょう。
- 喉を乾燥させない
喉が乾燥すると咳が出やすくなります。
加湿器などで空気の乾燥を防ぎ、部屋の湿度を保ちましょう。
特に冬季は注意が必要です。
- 安静にする
横になって体を休ませことが大切です。
ただし、横になることで咳が出て苦しがるような場合は、クッションや丸めた毛布などを置き、もたれかかれるようにしてあげると良いでしょう。
なお、RSウイルス感染症はインフルエンザなどとは異なり、学校保健安全法で登校禁止期間が決められていません。
そのため、登園(登校)の見合わせ及び再開などに明確な基準はありません。
ですが、地域や園によっては、登園(登校)許可証が必要な場合もありますので確認してみてください。
基本的には、医師から「登園(登校)しても大丈夫」というお墨つきが出れば、出席は可能です。
RSウィルス感染症の予防法は?
前述したようにRSウィルスの感染経路は主に「飛沫感染」と「接触感染」です。
そのため、それぞれの経路からの感染を予防する必要があります。
飛沫感染を防ぐためには、日常的に子供と接する機会の多い方の場合、咳や発熱などの症状の疑いがある際には極力子供との接触を避けたり、どうしても接する必要があるときはマスクを正しく着用したりすることが有効です。
接触感染を防ぐためには、こまめな手洗いと手指の消毒、子供が触れる可能性の高いおもちゃやドアノブなど身の回りのこまめな消毒が有効です。
特に流行時期や家族に感染者がいる場合にはできるだけ密接な接触を避け、こまめに手洗い・うがい・手指の消毒を行いましょう。
また、タオルや洗面器などの共有も避けてください。
身の回りの消毒には消毒用エタノール(アルコール)や次亜塩素酸ナトリウムなどが有効です。
まとめ
RSウィルス感染症は主に乳幼児期に多く発症し場合によっては重症化し肺炎や気管支炎に進展します。
新生児が感染すると最悪の場合死に至ることもあるので注意が必要です。
RSウィルスは乳幼児だけに限らず、大人まで年齢を問わず感染します。
大人が感染しても軽い風邪のような症状ですむことがほとんどなので、気づかないうちに子供にうつしてしまうリスクがあり、注意が必要です。
乳幼児に「感染には気を付けるように」というのは無理な話ですから、周囲の大人がしっかりと自分自身の体調管理や子供の感染対策を行っていくことが大切になってきます。
RSウィルスに限らずたいていの感染症は、こまめな手洗い・うがい・手指の消毒で予防できます。
身の回りの良く触れるも箇所のこまめな消毒も有効です。
もしお子さんに感染の疑いがある場合は、冷静に症状を確認・把握し、なるべく早く医療機関を受診しましょう。
受診にあたって判断が難しい場合はかかりつけ医や近隣の小児科医のいる医療機関に相談すると良いでしょう。
適正な予防と対処で大切なお子さんの健康を守っていけるよう本記事を参考にしていただけると幸いです。