地震で発生する液状化って何?起こる仕組みと対策を知ろう!

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地震による被害のひとつに「液状化現象」があるのはよく知られています。

その一方で、液状化現象とはどのような事が起きるのかはあまり知られていません。

この記事では地震による液状化が起きる仕組みや具体的な被害、そして対策についてご紹介します。

目次

液状化現象とは

ゆるく堆積した砂の地盤に強い地震動が加わると、地層自体が液体状になる現象のことです。

液状化が発生しやすい場所は、特に地下水位の高いゆるく堆積した砂地盤などで、例えば埋立地、干拓地、昔の河道を埋めた土地、砂丘や砂州の間の低地などがあげられます。

海沿いの低湿地で発生しやすいと思われていますが、条件を満たせば内陸の平野部でも発生します。

液状化が生じると砂の粒子が地下水の中に浮かんだ状態になり、水や砂を吹き上げたりします。

また、建物を支える力も失われ、比重の大きいビルや橋梁は沈下したり、比重の小さい地下埋設管やマンホールなどは浮力で浮き上がったりします。

やがて、水が抜け去ると砂は締めかたまり、もとの状態かもう少ししまった状態になって支持力を回復します。

  • 液状化現象とは、地震の振動によって地下水位の高い砂の地盤が液体状になる現象の事をいいます。
  • 液状化現象が起きると建物の傾斜や沈下、地中の構造物の浮き上がり、地盤の移動、噴砂や噴水などが起こります。
  • 液状化現象への対策は事前の調査や地盤改良などがあります。

液状化現象が起きる仕組み

地盤は土や砂の粒子が集まった状態でできていますが、その粒子間を「地下水」とよばれる水で満たして支えています。

地震の振動によって地下水の圧力が高まると土や砂の粒子の結合がなくなってしまい、地下水に浮いた状態、いわゆる「液状化」した状態になります。

液状化後は土や砂が沈殿し、地下水と分離して泥水のようになってしまいます。

こうなると建物の傾斜や噴砂などの現象が起き、建物やインフラなどに大きな被害をもたらします。

液状化による被害

地震によって液状化現象が起きた場合には、次のような被害が起きる可能性があります。

建物の傾斜・沈下

液状化現象が起きるとまず考えられるのが、建物の傾斜や沈下の被害です。

地盤が液状化したことによって建物が一方へ傾いたり、不均一に沈み込んだりします。

建物が傾くと、ドアや窓の開け閉めが困難になったり窓の鍵がかからなくなったりといった建具に関する被害の他、気密性の低下や基礎部分への亀裂の発生、排水が流れないといった被害にも及びます。

場合によっては建物自体が横だおしになることもあります。

木造住宅は、液状化による影響を受けやすいので注意

地震により地盤が液状化すると、建物重量が軽く基礎が浅い木造住宅は、傾斜や沈下などの被害を受ける可能性があります。

液状化によって被害が生じると通常の生活が困難になるほか、建物を元の状態に戻す修復工事の期間中は建物が使えなくなるなどの影響を受ける場合があります。

このため、上述でもあった通り埋立地、干拓地、昔の河道を埋めた土地、砂丘や砂州の間の低地の地域に該当する地域は特に液状化による建物被害へ備えていくことが重要です。

地中構造物の浮き上がりや破損

地震によって液状化現象が起きると、写真や映像などでは見たことあるかもしれませんが、地中にあるマンホールなどの構造物が浮き上がったり、地中に埋められている水道やガスなどの埋没管が破損したりする場合があります。

マンホールが浮き上がると通行に危険なだけでなく、避難や救急搬送、支援物資の運搬の妨げになるなどの深刻な被害をもたらします。

また、水道やガスの菅が破損すると、周辺地域のライフラインに大きなダメージを与えてしまいます。

噴水や噴砂

先述の通り、液状化現象は地震の揺れによって地盤の地下水の圧力が高まることによって起きますが、その地下水や地中の砂が地上に噴き出すことがあります。

これを噴水や噴砂といい、液状化現象特有のものです。

噴水や噴水によって、道路や田畑、住宅などが冠水したり埋もれたりするといった被害が発生します。

液状化現象への対策とは

このように道路や建物だけでなくライフラインにも深刻な被害をもたらす液状化現象への対策には、次のような事が考えられます。

予め土地の特徴を知っておく

液状化しやすい土地の特徴をあらかじめ知っておくことで、液状化現象が発生する可能性が高い場所かどうかを予測することができます。

液状化しやすい土地には、地盤の粒子に砂が多く柔らかい砂地盤や、地下水の水位が地表に近く浅いといった特徴があります。

したがって、強固な地盤や地下水の水位が深い山間部や丘陵部では地震が発生しても液状化現象はあまり見られず、海岸や埋め立て地や低地では液状化しやすいといわれています。

地震の規模や地盤ごとの特徴にもよりますが、一般的に次のような地域は液状化現象が起きやすいとされています。

  1. 埋立地
  2. かつて池、沼、川であった場所
  3. 自然堤防(大きな河川の近く)
  4. 砂丘間低地(砂丘列と砂丘列との間の細長い低地)
  5. 干拓地
  6. 三角州
  7. 盛り土
  8. 埋め戻した土地
  9. かつて液状化が起きた場所

ハザードマップで調べる

万が一地震が起きたときに液状化現象が起きやすい土地かどうかは、ハザードマップなどで発生傾向を調べることができます。

国土交通省による「ハザードマップポータルサイト」では、災害リスク情報などを地図に重ねて表示できる「重ねるハザードマップ」と、各市町村が作成しているハザードマップにリンクされている「わがまちハザードマップ」を閲覧することができます。

地盤改良をおこなう

これから建物を建てる予定の土地の地質調査をした結果、液状化現象が起きやすい地盤だと分かることがあります。

地盤が軟弱な場合、どんなに耐震性に優れた建物を建てたとしても、液状化などによって傾斜や沈下のリスクが伴います。

このような場合は、地盤改良をおこなうことで地震が起きたときの液状化のリスクを減らすことができます。

地盤改良には表層改良工法、柱状改良工法、鋼管杭工法の3つの方法があります。

その土地の状態に応じていずれかの方法を用います。

既存の建物がある場合の対策

既に建物がある場合にできる液状化現象への対策としては、基礎の下部分への薬剤等の注入という方法もあります。

建物の基礎の下に「クラウド材」と呼ばれるすき間を埋める液体状のものや薬剤を、ボーリングマシンで注入します。

既存の建物でも地盤改良を行いたい場合は、建物の土台の下に油圧ジャッキを入れてジャッキアップをする必要があります。

これで、傾きの修正だけでなく地盤改良も兼ねることができます。

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この記事を書いた人

幼少期に阪神淡路大震災を体験し、20代前半に起こった東日本大震災では、北関東で間接的な被害を受けました。
断続的な停電や断水をなどを経験した事で得た豆知識を、少しでも世間の方の助けになればと執筆しています!

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