地震後の電気の復旧はどれくらい?災害への備えも解説!

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地震が発生したことによる電気止まった経験をしたことがある方は珍しくありません。

大規模な地震が発生するたびに、各地で電気が止まっているためです。

中には、数ヶ月もの間、復旧せずに停電が続いていたというケースもあり、大変な不便を受けたという方もいます。

このため、こういった地震よる停電を不安視する方は多く、復旧期間の目安や地震による停電に対してやっておくべき備えを知りたいという方も少なくありません。

そこで本記事では、地震による電気の復旧期間の目安や、地震による電気の復旧が長引いた際の備えなどについて詳しく解説していきます。

地震による停電について不安を感じている方は、本記事を参考にしてください。

目次

電気復旧までの日数と時間は?

地震によって停電が発生した際の電気復旧にかかる時間は、地震によって損壊を受けた場所や程度によって異なります。

 

電信柱が損壊したことによる停電と発電施設自体が損壊したことによる停電では、復旧に掛かる時間が異なるのは当然です。

では、地震による停電が復旧するまでにどの程度時間がかかるのかを把握すればいいのでしょうか?


電気復旧の期間を把握するためには、過去に起きた地震による停電の電気復旧の期間を参考にするしかありません。

そこで、以下の3つの地震について解説します。

〇東日本大地震
〇大阪府北部地震
〇北海道胆振東部地震

地震が発生した際の電気復旧の期間の目安を掴むためにも、確認しておくようにしてください。

東日本大地震

東日本大地震とは、2011年3月11日14時46分に起きた、三陸沖を震源とする最大震度7(マグニチュード9.0)の地震です。

この地震では、東日本を中心に北海道から九州地方にかけて震度7から震度1を観測しており、広範囲の津波や液状化現象などによって、多くの被害が発生しました。

当然、電気などのインフラにも大きな被害が出ており、東北電力エリアでは最大466万戸という大規模な停電が発生しています。


反面、復旧は早く、地震発生から3日で「約80%」が復旧し、8日後には「約94%」が復旧しました。


しかし、復旧作業に着手可能な地域の停電が、すべて復旧したのは6月18日11時3分で、地震発生から実に3ヶ月以上の期間を要しています。

出典:3月11日の地震により東北電力 で発生した広域停電の概要:経済産業省

したがって、東日本大地震級の地震が起きた際は、長期間の停電が起きる可能性があることを視野に入れておくようにしましょう。

ちなみに、電気復旧に時間がかかった原因は、福島第一原子力発電所をはじめとする複数の大規模発電所が停止したためです。

大阪府北部地震

大阪府北部地震は、2018年6月18日午前7時58分ごろに大阪府北部で発生した震度6弱(マグニチュード6.1推定)地震です。

この地震により大阪府・京都府・兵庫県を含む3府県で、約17万戸が停電する被害が発生しました。


しかし、停電の発生から約10分後の8時8分には未復旧の軒数が「約2,062軒」、9時20分が「約910軒」、10時43分には全軒復旧と早期復旧しています。

出典:大阪府北部の地震における ライフラインの被害:神戸大学大学院工学研究科 鍬田泰子

地震によって北豊中変電所が停止したことにより、一時的に停電が発生したエリアが多かったため、変電所が送電を開始することで簡単に復旧できたのが早期復旧の理由です。

このことから、大阪府北部地震のように、大都市圏で起きた大型の地震でも、停電した原因が簡単に解決できるものであれば、すぐに復旧する可能性が高いことが分かります。

北海道胆振東部地震

北海道胆振東部地震とは、2018年9月6日3時7分に発生した最大震度7(マグニチュード6.7)の地震です。

この地震により295万戸が停電し、日本初のブラックアウトが発生しました。


復旧にも時間がかかり、約30時間後に復旧できたのは北海道全体の約5割、ほとんど復旧が終わったのは64時間後の9月8日19時で、復旧までに長時間掛かっています。

しかも、全復旧にはもっと時間がかかり、停電がすべて解消したのは、約1ヶ月後の10月5日でした。

出典:平成30年北海道胆振東部地震(総務省)

地震による停電の復旧時間の目安を知りたい方は、北海道胆振東部地震で起きた停電のように、全体的にも長時間の停電が発生して、全復旧には1ヶ月近くの時間が掛かっている停電があることも知っておきましょう。

ちなみに、北海道胆振東部地震では、停電や水道などのインフラには被害が発生していますが、ガスに関しては大きな被害が発生しておらず、供給も止まっていません。

出典:令和元年版 防災白書|ライフライン被害(内閣府防災情報ページ)

地震時に電気が止まる理由

地震によって停電が発生する理由はさまざまなものがありますが、大きく分けると以下の2つです。

〇地震によって電柱や電線、ケーブルが損傷する
〇発電所や変電所が停止する

それぞれについて詳しく解説するので、内容を参考にしてください。

地震によって電柱や電線、ケーブルが損傷する


当然ですが、地震によって電柱や電線などが損壊すれば、停電が発生します。

実際、地震の揺れによって建築物が倒壊し電柱や電線が損傷したり、液状化現象によって地中にあるケーブルが損傷することで、停電した事例は数多く存在します。

こういった電線の断線などによる停電は、損傷した箇所を作業員が直接現場で修復する必要があるため、広範囲で発生してしまうと、復旧までに時間が掛かってしまうことを覚えておきましょう。

発電所や変電所が停止する

発電所や変電所自体が地震によって停止した場合も停電は発生します。

実際、発電所の設備が地震の揺れによって破損し、発電所や変電所が停止したというケースは珍しくありません。

例えば、前述した大阪府北部地震や東日本大地震も、発電所や変電所が停止したことで停電しました。

しかし、復旧までの期間は、どのような損壊を受けているのかで、大きく異なります。

一時的停止措置や設備の破損が部品交換などですぐに修繕できる場合は、停電期間も短いので心配は不要です。

大阪府北部地震でも、北豊中変電所が停止しましたが、地震から約3時間で全復旧しました。

一方、東日本大地震のように大規模発電所自体が大きな被害にあっている場合には、復旧まで時間がかかる可能性もあります。

ただし、ひとつの発電所が被害にあっただけで、継続的に停電が続く可能性は低いので安心してください。

他の地域の発電所などから電気を送電することが可能なため、その程度であれば、すぐに復旧されます。

電気復旧の仕組み

停電を復旧させるためには、変電所に近い区域から順番に電気を流し、停電原因のあるエリアを絞り込みます。

それで問題のあるエリアを把握できたら、現場で作業員が状況を確認し、最終的には電柱を一本一本調査して異常のある場所を特定していく流れです。

そして、設備の修理や接触物の除去を行い、停電を復旧することができます。

電気復旧後の通電火災に注意

通電火災とは、停電が復旧した際に、倒れた電気ストーブなどの暖房器具や損傷した電子機器が可燃物に触れていたり、損傷した電子機器に通電したことでショートし発生する火災のことです。

地震による停電が復旧した際は、この「通電火災」に注意しなければなりません。

 通電火災が起こるような状況下では、住民が避難所に避難しており、家に誰もいない状況で発生することが多いため、初期消火が行われづらいことにより、大規模な火災へ発展する傾向があるためです。

実際、2011年3月11日に発生した東日本大震災では、発生した火災のうち「54%」が電気関係による火災だと内閣府が公表しました。

出典:大規模地震時の電気火災の発生抑制に関する検討会(内閣府)

では、通電火災を防ぐためには、どうすれば良いのでしょうか?

最も効果的なのは、内閣府も推奨している感震ブレーカーを設置することです。

 感震ブレーカーを設置することで、地震発生時に設定以上の揺れを感知すると、自動的にブレーカーを落として電気を止めてくれます。

「自分で落とせばいいのでは?」と考える方もいますが、地震発生時には迅速な避難が必要で、自宅のブレーカーを自身で落とせない可能性が高いため、非常に有効です。

迅速に避難したうえで通電火災を防ぐためにも、感震ブレーカーの設置を検討するようにしてください。

ガスの復旧までの日数は?

地震時のガスの復旧までの日数も、電気復旧と同様に、地震規模や被害状況などによって異なります。

このため、目安を知ろうと思うと、電気と同様に、過去に起きた地震を参考にするしかありません。

過去に起きた以下の地震のガス復旧期間について紹介していきましょう。

〇東日本大地震のガス復旧
〇大阪北部地震のガス復旧

上記の内容を理解して、ガス復旧にかかる期間の参考にしてください。

東日本大地震のガス復旧

2011年3月11日14時46分に発生し、最大震度7(マグニチュード9.0)を観測した地震である東日本大震災では、停電だけでなく地震によってガスの供給も停止しています。

8県16事業者で都市ガスの供給が停止し、その数は約40万戸に及びました。

被害が非常に広範囲に渡ったため、全国のガス事業者が復旧隊を組織して、延べ約10万人が復旧作業にあたったものの、最も被害が大きかった仙台市のガス供給区域に関しては震災発生から約1ヶ月間掛かり、全復旧には54日という期間を要しています。

出典:第2節 都市ガス(経済産業省エネルギー庁)

とはいえ、被害が大きかったことを考えれば、約2ヶ月という期間は短いとも言えるでしょう。

大阪北部地震のガス復旧

2018年6月18日午前7時58分ごろに大阪府北部で発生し、最大震度6弱(マグニチュード6.1推定)を記録した大阪府北部地震でも、停電に加えてガスの供給が止まっています

具体的な都市ガスの供給停止戸数は、約11,2万戸(約全736万戸)にのぼりました。

出典:平成30年度に発生した災害とその対応:経済産業省 産業保安グループ

しかし、復旧は約7日間でしており、近年発生した大規模地震の中でも、復旧までの期間は非常に短いと言えます。

実際、2016年4月16日に発生した熊本地震では、約10.1万戸がガスの供給が停止しており、復旧までに15日の期間がかかっていることからも、その短さは伝わるのではないでしょうか。

 とはいえ、大阪北部地震の電気復旧期間である「3時間」と比較すると、7日間は時間がかかっています。

ガスの復旧期間は、短くなってきていますが、電気の復旧期間と、比較すると時間がかかると覚えておきましょう。

電気の復旧までに長期間かかる場合の備え

地震によって停電が発生した場合、復旧までには長時間かかる可能性があります。

そのため、日頃から停電した場合に備えておくことが重要です。

では、どのような備えをしておけばいいのでしょうか?

それは、以下の4つです。

〇行動を想定しておく
〇電気が停電した際の対応を理解しておく
〇電気が止まった際の備えを用意しておく
〇蓄電池を常備しておく

それぞれについて解説するので、内容をよく理解して地震に備えるようにしてください。

行動を想定しておく

大きな地震が起きた際の行動を日頃から想定して、以下の情報を把握しておく必要があります。

〇避難場所の把握
〇避難経路の把握
〇靴など避難するのに必要なものがある場所を決めておく
〇ブレーカーの位置の把握

上記の内容を把握することで、大きな地震が起きた場合も迷うことなく、ただちに避難することができます。

身の安全を守れる可能性を高めるためにも、大きな地震が起きた際の行動を日頃から想定しておくようにしましょう。

電気が停電した際の対応を理解しておく

地震によっては、停電が発生するケースもあります。

そのようなケースも想定して、以下の停電時の対応を理解しておくことが重要です。

〇インターネットで停電情報を確認する
〇ブレーカーを落とす
〇電化製品などの電源を抜く
〇懐中電灯やロウソクを持ってくる
〇車がある場合はガソリンを満タンにする(移動が可能でガソリンが入れられる状態である場合)

上記の行動を理解して停電時に行うことで、通電火災を防ぎながら速やかに避難することが可能です。

また、夏場に停電が起きてしまった際に起こる、クーラーや扇風機が使用できずに熱中症になるリスクも避けることができます。

夏場に停電が起こってしまった場合は、車で寝る方法も検討してみましょう。

ちなみに、地震の被害状況によっては移動が危険な場合もあるため、車での移動は慎重に見極めるようにしましょう。

電気が止まった際の備えを用意しておく

地震による停電に備えて準備しておきたいものは以下の通りです。

〇インスタント食品
〇ペットボトル飲料水
〇ロウソクや懐中電灯
〇乾電池
〇カセットコンロ
〇携帯電話の充電器
〇防寒具
〇除菌ウエットティッシュ
〇熱中症対策グッズ(うちわ・保冷剤・塩飴)
〇防寒対策グッズ(毛布・保温アルミシート・使い捨てカイロ)
〇手回しラジオ

上記は地震以外の自然災害によって避難が必要になった場合や、停電になった場合に有効なものばかりです。

将来的に災害が起きる可能性を考えたうえで、今のうちから準備しておくようにしましょう。

ちなみに、停電が発生してしまうと冷蔵庫が停止してしまうため、「缶詰・レトルト食品」などの常温で保存できる食品を、日頃から備蓄しておくことは非常に重要です。

発電機やポータブルバッテリーを用意しておく

停電に備えて、家庭用などの発電機を購入しておくと安心です。

発電機には、主にガソリン式とカセットボンベ式の2種類があり、冷蔵庫やノートパソコン、エアコンなどを動かすことができるため、停電に備えて用意しておくと良いでしょう。

発電機は恐らく、普段使用することが少ないため、いざというときに利用できるように使い方などを明記しておくことが大切です。

また多くの発電機は、一酸化中毒になる可能性があるため、屋内での使用は厳禁です。

正しい利用方法を理解したうえで、使うようにしましょう。

どうしても屋内に電力を供給したい場合は、発電機を屋外に置いて室内にコードを引っ張るか、ポータブルバッテリーを確保すると良いでしょう。

ポータブルバッテリーは、あらかじめ充電しておく必要がありますが、冷蔵庫など様々な生活家電を動かすことができ、屋内での使用も問題ありません。

蓄電池を常備しておく

停電に対する対策としておすすめなのが、「蓄電池」を設置することです。

電力会社から電力の供給がされてない状態でも、蓄電池に貯めていた電力を使用できます。

ただし、蓄電池単体では貯めていた電力がなくなってしまうと、電気が使用できなくってしまうため、間に合わせにしかなりません。

このため、もっとおすすめなのが、蓄電池と太陽光発電を組み合わせる方法です。

日中に太陽光発電によって発電した電力を蓄電池に貯めることができるため、日中はもちろんのこと、発電ができない夜間でも電気を使用することができます。

不安に陥りやすい災害時による停電の中でも、照明器具が使えることは精神的な支えとなり安心につながるため、太陽光発電と蓄電池の設置を検討してみましょう。

まとめ

大規模地震が発生した場合、停電が発生する可能性が高まります。

停電しても数日で復旧するケースが多いですが、中には復旧まで数ヶ月かかるケースもあるため、停電が長期間に渡る可能性を考慮したうえで、日頃から備えをしておくことが重要です。

そこで、この記事では、地震による停電の復旧期間の目安や、地震による停電に対する備えなどについて解説してきました。

地震による停電について不安を感じている方は、この記事を参考にしてみてください。

この記事は執筆された時点での情報を元に記載されております。文書・写真・イラスト・リンク等の情報については、慎重に管理しておりますが、閲覧時点で情報が異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。 記載内容や権利(写真・イラスト)に関するお問合せ等はこちら

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この記事を書いた人

幼少期に阪神淡路大震災を体験し、20代前半に起こった東日本大震災では、北関東で間接的な被害を受けました。
断続的な停電や断水をなどを経験した事で得た豆知識を、少しでも世間の方の助けになればと執筆しています!

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