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【タワマンは災害に弱い】本当?地震などのリスクに備えるための備蓄と対策を徹底解説
住宅に対して将来的な価値、ブランドやステータスを求めるとき、かなり有力な選択肢のひとつになるのがタワーマンション(本記事では、以下タワマンと表記します)ですよね。
眺望の良さも人気を集める最大の理由のひとつでしょう。
現在、都心に行けば行くほど目立つタワマン。中にはもちろん階段では到底、たどり着けない階数に住んでいる人もいらっしゃいますよね。
眺望は良く、住んでいるだけでステータスになることはもちろんですが、災害時にはさまざまな壁が立ちはだかります。そこで今回、この記事では災害が起こるとマンション、特にタワマンではどのような影響を受けるか解説していきたいと思います。
また、タワマンでの地震や台風といった災害時のリスクや備え、災害時の備蓄についても詳しく見ていきます。
タワマンで考えられる災害リスク
そもそもタワーマンション(以下、タワマン)は、比較的災害に強いといわれている。1981年に適応された新耐震基準の建物は震度6強から7程度の地震でも倒壊しないような構造基準に設定されています。
タワマンでは免震や制震構造などの最新の建築技術を用いた建物も多いため、折れてしまったり、倒壊などの心配はほとんどないといっていいでしょう。
ただし、やはり高層建築ならではの被害は、電気やガス、水道など生活する上で欠かせないライフラインであり、その中でも特に心配なのはエレベーターではないでしょうか。
いくつか考えられる災害リスクを解説していきます。
停電・エレベーターが止まる
ほとんどのエレベーターは、震度4から5弱程度の地震が発生すると緊急停止するようになっています。
なので、エレベーターが復旧するまでの移動手段は、原則徒歩で行うことになります。
タワマンで高層階になればなるほど上下の移動が困難になり、備蓄品が不十分だと生活を継続することが難しくなる可能性が高くなります。
エレベーターが止まってしまったらタワマンの超高層階は陸の孤島です。
自宅にいて被災し部屋自体が無事であったとしても、停電やエレベーターの運転再開のための復旧作業には時間を要することから、建物の外に出ることすら大変になります。
救援物資の配布を受けても、水など重いものは部屋へ持って帰るだけでもタワマンの場合は、低層階住宅に比べてかなり労力が必要になってしまうでしょう。
また、地震の揺れの力を逃す免震構造により、上層階ほど大きく長く揺れる可能性もあるそうです。
エレベーターの閉じ込め問題
まず、大前提タワマンは、一般的に20階以上の鉄筋コンクリート造の集合住宅のことを指します。
そのため、エレベーターの移動は欠かせないですよね。高層階になればなるほど移動時間も必然的にかかってきます。
だからこそ、地震や停電によってエレベーターが停まってしまうと何もできなくなるというリスクが伴います。
もちろん、エレベーターの閉じ込めはタワマンだけに限りません。
ここ20年以内に建設されたタワマンに設置されているエレベーターであれば、地震の揺れを感じると地震時管制運転装置が作動し、最寄りの階に停止し、扉が開くシステムになっています。
それ以前のエレベーターではこの機能が付いていない場合も多く、特に閉じ込めが発生する可能性が高いと思われます。
「今まで地震が起きてもエレベーターが止まったことはない」と、思っている人も多いかもしれないですよね。
ですが、実際に例をあげると、2018年6月の大阪北部地震では多くのエレベーターが停まりました。
国土交通省が2019年6月に発表したデータでは、大阪・京都・兵庫・奈良・滋賀を中心とし、和歌山・岐阜、福井、香川にわたる広範囲で約6万3000台のエレベーターが運転休止し、そのうち大阪・京都・兵庫・奈良・滋賀の346台で閉じ込めが発生していたそうです。
発生した時間が朝だった理由もあってか、閉じ込めが発生した建物で最も多かったのが住居です。
大阪北部地震の場合は、数時間で救助されているが、一度停止したエレベーターを再び作動させるためには、専門の技術者による安全確認が必要です。
停電によって停止した場合でも、技術者が安全性を確認しなければ動かせないこともあります。
非常用電源は24時間または72時間
上述の通り、「エレベーターが使えなくなった場合どうすればいいか」を常々考えておかなければならないですね。
2011年の東日本大震災の影響により、それ以降に建設された新築マンションでは、災害への備えが重視されるようになりました。
震災以前、タワマンでは地震や停電によって電力の供給がなくなった場合の非常用電源の稼働時間は24時間が標準でしたが、震災以降は72時間になっています。
地震等で電力の供給が途絶えても、非常用エレベーターを72時間は動かすことができるようになりました。
ちなみに、非常用電源は発電機を稼働させて動くため、72時間分の発電用燃料がタワーマンション内のどこかに保管されていることが多いそうです。
ですが、非常用電源が使えるとしても、すべてのエレベーターが動くわけではなく、非常用エレベーター1基しか動かない可能性が高いそうです。
何世帯もの住民のいるタワマンであれば、エレベーターは1基だけではなく、何基もありますよね。
自分が住んでいるマンションの非常用電源がどれくらいの時間稼働できるか把握していない場合は、管理組合に聞いたり、新築であればマンション購入時のパンフレットなどに記載されているといいます。
気になる場合は、確かめておくといいでしょう。
たとえ、72時間稼働したとしても、『72時間以内にインフラが復旧するとは限らない』ということも頭に入れておく必要があります。
非常用電源が途切れた時、高層階に暮らす人たちは自力で階段を上り下りするか、マンションの外へと避難するか、どういった行動をとるのか事前に考えておく必要もありますね。
タワマンの台風被災・水害
記憶に新しいのは、2019年の各地に甚大な被害をもたらした台風19号ですよね。
別名、令和元年東日本台風とも呼ばれており、2019年10月6日に南鳥島近海で発生し、災害救助法適用自治体は14都県の390市区町村であり、東日本大震災(東北地方太平洋沖地震)を超えて過去最大の適用となったそうです。
この時に大きな注目を集めたのが、武蔵小杉のタワマンです。
現在も住みたい街として人気の川崎市の武蔵小杉では、タワマンが停電、断水する被害が発生しました。
便利な土地に林立するタワマンは子育て世代からも根強い支持を集めているため、浸水被害はかなり大きな話題になりました。
浸水による全棟停電
川崎・武蔵小杉の47階建てタワマン(川崎市中原区)は浸水による全棟停電に見舞われました。
台風が上陸した夜、増水した多摩川の泥水が下水道管を逆流し、武蔵小杉駅周辺を水浸しにしました。
47階建てタワマン(川崎市中原区)も電気設備がある地下3階が浸水しました。
真下の地下4階にゲリラ豪雨に備えた雨水貯留槽があり、建物周辺の雨水升を通じて大量の水が流入し、下水道に排出するポンプの能力を超え、地下3階に水があふれました。
結果、浸水の被害により停電し、電気も水道もエレベーターも長期間使えなくなりました。
電力は被災から約1週間、水道は約2週間で復旧。
1カ月後には完全に被災前とほぼ同じ生活に戻りました。
停電すると水の供給も停止する
タワマンでは、電力でポンプを稼働させ、水を上層階へ押し上げているため、電気がある限り水が蛇口から出てくるが、電気が止まってしまうと水も出なくなります。
そうなると、もちろん蛇口から水(飲料水)は出なくなり、トイレも流すことができず、お風呂にも入れず、洗濯もすることができなくなります。
さらに、『タワマンに限らず、マンションの住民については行政は避難所への収容を想定していないそうです。
基本的に、避難所はその場にいたら命の危険がある人のためだと考えるべきでしょう。タワーマンションは基本的に命の危険はないとみなせるため、住居内で“自活”が求められている』そうです。
東京のような大都市で大地震が発生した場合、行政が設置する近隣の避難所へ行ったとしてもキャパオーバーになり、救援物資などが絶対的に不足してしまうことが容易に想像できます。
そもそもタワーマンションの住民を収容するスペースが足りてないのです。タワーマンションが建設され、街の住民が増えても、避難所の収容人数は変わらないからです。
だからこそ、東日本大震災以降は、マンションによって、各階ごとに災害備蓄をしているところもあります。
ほぼ、飲料水と食べ物ですが、避難所へ行けないということも踏まえると、自宅でしっかりと備えておく必要がありますね。
タワマンのトイレ問題
たとえ、飲料水や食料はなんとか備蓄で賄えたとしても、一番大変なのがトイレの問題です。
生活用の備蓄水がストックされていたとしても、排水管に問題が生じれば、トイレを流すことができません。
防災用のトイレ袋をある程度用意しておく必要がありそうです。
タワマンのゴミ問題
さらに、マンション内で避難生活をするとゴミが出ます。
使用したトイレ袋だけでなく、調理や洗い物ができない分、空き缶、レトルト、紙皿、ウェットシート等のゴミがたまります。
もちろん、ゴミ置き場にゴミを下ろすことはできません。
ゴミ置き場も、ゴミの収集車が来ない間は、閉鎖するしかありません。
その間のゴミはバルコニー等で各自が保管することになります。
タワマンにお住まいの方は、停電が続き、エレべーターが2週間動かない、水は出ない、トイレが使えない状態が2週間続く等最悪のことを想定してそれにどう備えるかを、各家庭で真剣に考えなくてはなりません。
タワマンは災害に弱い? 実際にされている安全対策
では、タワマンは地震や災害に弱いのか?という疑問に対しては、そんなことはありません。
タワーマンションは、普通のマンションよりも対策がされているので、危険とは言い切れません。
折れてしまったり、倒壊してしまうと周囲の街に甚大な被害をもたらすので、通常のマンションの何倍も安全に配慮されています。
3つの耐震構造
耐震構造
柱などの建物自体の強度が高く、地震に耐える構造です。
あえて揺らすことでエネルギーを逃し、倒壊を防ぎます。
ただし地震のエネルギーが建物に直接伝わるので、非常に揺れやすい構造で、特に高層階の方は揺れを大きく感じます。
制震構造
各階にダンパー(衝撃や振動を抑える装置)などの制震部材を設置していて、揺れを吸収します。
地震エネルギーをダンパーなどが吸収するため耐震構造よりは揺れ幅が少ないと言われ、タワーマンションでよく使われます。
免震構造
建物と地面の間に積層ゴムなどを挟むことで、建物自体を揺れにくくしています。
建設費用が高いものの地震の揺れが非常に減ることから、高級タワーマンションをはじめ一部のマンションで採用されています。
自動発電がされている
タワマンでは、非常用発電機の設置が義務付けられていて、非常灯や非常用エレベーターなどに使われます。
上述の通り、非常用電源の稼働時間は、震災以降は72時間になっています。
地震で停電してもすぐに真っ暗にはならず、比較的安全に避難をすることが可能です。
ヘリポートで空からも救助を受けられる
タワーマンションは空からの救助も受けられます。
法律で、100m以上の建物にはヘリコプターの「緊急離着陸場」、31~100mの建物には「緊急離着陸場」もしくは「緊急救助用スペース」を設けることが義務付けられています。
多くのタワーマンションは100mを超えていて、仮に出入口が塞がれたり、自分より下の階で火災があっても避難は不可能ではありません。
火災が起きても燃え広がりにくい
タワーマンションは、多くの場合で火災も燃え広がりにくい下記のような仕組みがあり、火事になっても燃え広がりにくいです。
・スプリンクラーや防火シャッターが設置されている
・カーテンや絨毯は燃えにくい製品が義務付けられている
・壁やドアに防炎素材が使われる
2017年にロンドンで高層マンションで大火事がありましたが、上記のような対策はほとんどされていませんでした。
日本の高層マンションは法律で厳しく火災対策がされているので、大規模火災は起こりづらいと考えられます。
結論:他マンションよりもリスクは少ない
もちろん同じように災害リスクはあるものの、タワマンは通常のマンションよりもリスクが低いと言えます。
タワマンが崩壊・倒壊するような災害があった場合、通常のマンションも大きな被害を受けます。
そのため、タワマンだからと過度に心配する必要はほとんどありません。
下記のポイントでしっかりと予防して被害を最小限に抑えましょう。
・制震/免震構造をしっかり選ぶ
・特に高層階の人は家具を固定する
・エレベーターが止まることに備え非常食や避難グッズを用意しておく
・ハザードマップ、避難経路を確認しておく
タワマンの高層階はどんな備えがベスト?
いざというときの危険や不便さを少しでも軽減するべく、高層階に住む家庭や個人が普段から備えておくべきことをしっかり考えておきましょう。
・家具の固定
長周期地震動では上層階になるほどマンションは大きく揺れるため、室内の家具が転倒したり棚から食器が飛び出したりする危険性は高くなります。しかしながら、地震の種類によっては階層にかかわらず、大きな揺れが起こる可能性があるため、全ての家庭において家具の固定は重要です。
・食料と水の備蓄
備蓄の目安は住居のタイプにかかわらず、最低3日分の水・食料・簡易トイレを家族の人数分、が基本であり、内閣府では1週間分を推奨しています。
※水は1人、1日3リットルが必要と言われてますから、例えば4人家族で必要な1週間分の水の量は、2リットルのペットボトル48本です。
ですが、上述の通り、タワーマンションの高層階の場合、エレベーターが停止するなどで外に出ることが難しい場合もあります。
「高層階になるほどエレベーターが停止中の移動が困難となるため、備蓄数を増やす必要があります。
日常生活で使う食料や水を多めに用意して消費した分を補充するローリングストック法なら、日ごろから無理なく行うことができます」
生活用水に使用する水なら、普段から浴槽に水を溜めておくのも一つの方法でしょう。
飲料水に関しては、定期配送のウォーターサーバーが自宅に1台あるとおすすめです。
ボトル型の宅配水を備蓄用の飲料水としてストックしておくのもいい方法だと思います。
まとめ
タワマンがしっかり安全対策されていて、過度に心配するほど災害に弱くないことがわかりましたね。
とはいえ、災害時の超高層住戸と地上階の階段での上り下りは、現実的ではありません。
例えば30階の高さは、約450段の階段の上り下りです。1階に水や食料、生活支援物資が届いても、それを取りに降りて運ぶのは容易ではありません。
高層階にお住まいの方、特に高齢者、小さな子供がいる場合は、エレベーター止まったときのために、災害対策(特に食料・水・簡易トイレ)の確保、備蓄をしておくべきだと思います。