【手足口病とは】症状や感染経路、予防策は?

手足口病イメージ

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手足口病は主に幼い子どもが感染し、手足や口に発疹ができるウイルス性の感染症です。

毎年夏に流行する手足口病ですが、2019年に東京都では小児科定点医療機関からの第26週(6月24日~30日)における手足口病の患者報告数が、都の警報基準を超える流行を見せ、警報が発せられました。

ここ1-2年はコロナウイルス感染症の流行もあってか落ち着いているように思えましたが、東京都は先月31日までの1週間に都内264か所の小児科のある医療機関から報告された手足口病の患者数は1216人に上ることを発表しました。

東京都では一定数の患者が出た保健所管内の人口の合計割合が都全体の30%を超えると流行の警報を出すとされており、今回46%余りに上ったことから8月4日に3年前の2019年以来の警報を発しました。

手足口病に感染すると、症状が重い場合はまれに脳炎などの重い症状を引き起こすこともあるので、幼いお子さんをお持ちのご家庭は注意が必要です。

そこで本記事では手足口病の症状や感染経路、予防法などについて解説します。

目次

手足口病とは

手足口病は、子どもを中心に、主に夏に流行し、7月にピークを迎えます。
口の中や手足などに水疱性の発疹が出るウイルス性の感染症です。

手足口病の原因となるウイルスは、主にコクサッキーウイルスA6(CA6)、コクサッキーウイルスA16(CA16)、エンテロウイルス71(EV71)などのノンエンベロープウイルスです。

例年、5歳以下の幼い子どもが報告患者の90%を占めていますが、まれに大人にも感染します。

ノンエンベロープウィルスとは

ウイルスは構造によりエンベロープのあるウイルスとエンベロープの無いウイルスに分けられます。
エンベロープは、脂肪・タンパク質・糖タンパク質から出来ている膜で、ウイルスが増殖して細胞から飛び出す際に細胞の成分がまとまって出てくるものです。

エンベロープは脂質に作用するので壊れやすく、エンベロープのあるウイルスはそれが原因で失活します。
エンベロープウイルスはアルコール消毒剤からのダメージを受けやすいのですが、エンベロープのないノンエンベロープウイルスはアルコール消毒剤からのダメージを受けにくいため、アルコール消毒剤が効きにくい傾向にあります。

手足口病の症状は?

手足口病の潜伏期間は3日~5日程度です。
口の中の粘膜や手のひら、足の裏や甲などに2~3mmの水疱性発疹が現れます。
約1/3の発症者に1~3日程度の間発熱があることがありますが、その場合も大半はあまり熱は高くならず、高熱が続くような症状は基本的にありません。

水疱はほとんどの場合かさぶたにはならずに治ることが多く、1週間程度で症状はなくなります。
中には、1~2ヶ月後に手足の爪がはがれるような症例の報告もあるようですが、自然に新しい爪が生えてきて大事にはいたらないとされています。

また、口の中にできた水泡がつぶれたあとに後にできる口内炎がひどくなり、食事や飲み物を受け付けなくなり、それにより脱水症状を引き起こすこともあるので注意が必要です。

加えて、まれな症例ではありますが、髄膜炎・小脳失調症・脳炎などの中枢神経系の合併症や心筋炎・神経原性肺水腫・急性弛緩性麻痺など、さまざまな症状が出ることがあります。
特にエンテロウイルス71に感染した場合、ほかのウイルスによる手足口病と比べて、中枢神経系の合併症を引き起こす可能性が高いことが明らかになっています。
手足口病の典型的な症状がないまま重症になるケースもあるのでこちらも注意が必要です。

手足口病の感染経路は?

手足口病の感染経路は主に飛沫感染・接触感染・糞口感染です。

特に手足口病が発症しやすい年齢層の子どもが普段生活をしているような、保育園や幼稚園などでは感染が拡大しやすいため注意する必要があります。
子ども同士は生活距離が近く、保育園や幼稚園では特に濃厚接触が生じやすい環境であることや、子どもたちは衛生習慣が未熟なことから、施設内で手足口病の発症があった場合、集団感染がおこりやすいのです。
また、乳幼児は感染経験がないことが大半なので、感染するとほぼ発症してしまいます。

感染経路の概要

※スマートフォンの方は表をスクロールしてご確認ください。

感染経路 経路の内容
飛沫感染 病原体(ウイルスや細菌)が含まれたしぶき(飛沫)が口や鼻に入り込むことで感染する経路です。咳やくしゃみ、会話なんかでも感染します。
特に咳やくしゃみのしぶきは思っている以上に細かく、遠くまで飛散します。その飛散範囲は半径1~2mまで及ぶので
感染者のすぐ近くにいなくても気づかぬうちに病原体を吸いこんでしまい感染症を引き起こす可能性があります。
通常のマスク(サージカルマスク)の着用である程度予防ができます。
接触感染 病原体(ウイルスや細菌)に接触してしまうことで感染する経路です。
病原体は目視で確認すことができないので、知らずのうちに感染者の体内から排出された病原体や自然・住環境の中に潜んでいる病原体に触れてしまいます。
その手で鼻や口を触ったり、目をこすったりすることで病原体が侵入し、感染症を引き起こします。
また、けがをしたときには傷口を清潔にしておかないと傷口から血液を通って病原体が侵入し、感染症を引き起こすこともあります。
経口感染・糞口感染 経口感染は、病原体(ウイルスや細菌)が付着した飲食物などを口にすることによって感染する経路です。
一方、感染者の便に含まれる病原体に触れ、それが口から体内へ入る感染経路を糞口感染と呼びます。
便に含まれる病原体は直接便に触れなくても、便から飛散した病原体が便器に付着していたり、拭いた手についている病原体がドアノブなどについていたりします。
トイレの後はしっかり手を洗いましょう。

以下の記事で感染症についてまとめているのでこちらも参考にしてみてください。

感染してしまった場合の対処法は?

手足口病に特効薬はなく、特別な治療方法もありません。
基本的には症状の軽い感染症なので、経過観察をしながら症状に応じた対症療法をとっていきます。
口内炎に対して鎮痛薬で痛みを和らげたり、粘膜保護のために軟膏が処方されたりるすのが一般的です。

しかし、前述したようにまれに髄膜炎や脳炎など中枢神経系の合併症などが起こる場合があるので、経過観察はしっかりと行う必要があります。
高熱が出る・発熱が2日以上続く・嘔吐する・頭痛がある・視線が合わない・呼びかけに答えない・呼吸が速く息苦しそうにしている・水分が取れずに尿ができない・ぐったりとしている、などの症状がみられた場合は、すぐに医療機関を受診するようにしてください。

また、症状がある際の食事については、のどに痛みがあるので、刺激のあるものは避けるのが好ましいです。
飲みものは、オレンジジュースなどは控えて麦茶や牛乳、薄味の冷めたスープなどが良いでしょう。
食べものは、なるべく噛まずに飲み込めるようなもの、冷ましたおかゆやおじや、豆腐、ゼリーやプリンなどをあげて下さい。

通常であれば5日程度で症状が治まります。
発熱や口内の発疹や口内炎の影響がなく普段の食事がとれるようになることなどが保育園や幼稚園への登園の目安です。

感染しないための対策は?

手足口病には有効なワクチンや予防できる薬もありません。
また、症状が完治していても、しばらくの間便などからウイルスが排泄される場合や、感染していても発症せずにウイルスを排泄している場合もあります。
そのため、発症者だけを隔離しても有効な対策にはなりません。
保育園や幼稚園など、まだ衛生観念の発達していない幼い子どもが集団で生活する施設では施設内感染を防ぐことはかなり難しいのです。

一般的な感染対策としては、手足口病は飛沫感染・接触感染・糞口感染の3つが主な感染経路であり、それぞれの感染経路を断つことが大切です。

幼い子どもはマスクの着用が難しいため、まずはしっかりと手洗いをさせることや、子どもがよく触れたり口に入れる可能性のあるおもちゃのこまめな消毒を心掛けてください。
消毒剤としては前述したように手足口病の原因となるウイルスにはアルコール消毒剤の効き目は薄いですが、 次亜塩素酸ナトリウムや酸性アルコール消毒剤は有効とされています。

また、おむつを交換する際などには排泄物の適切な処理と、手洗いが重要です。

手洗いの際は流水と石鹸で十分に洗い、タオルの共用は避けてください。

経路別の感染対策

このように、感染経路もさまざまですので経路に応じた対策をとる必要があります。

経路別に有効とされている感染対策をまとめたのでこちらも参考にしてください。

経路 対策
飛沫感染
  • マスクの着用
  • ゴーグル・フェイスシールドの着用
  • 三密を控える
  • ソーシャルディスタンスを保つ
接触感染
  • 手洗い
  • 手指の消毒
  • つめを短く保つ
  • 手袋の着用
  • 手で触れる箇所の消毒
  • 衣類やタオルなどのこまめな洗濯
経口・糞口感染
  • 生水・生ものを控える
  • トイレの後の手洗いの徹底
  • 便座やレバー、ドアノブなどのこまめな消毒
  • ゴム手袋の着用

まとめ

手足口病は夏に流行し主に幼い子どもに発症する感染症です。
発症すると口や手のひら、足の裏や甲などに水疱性の発疹が現れます。

手足口病に有効なワクチンや予防薬、感染後も有効な治療薬はなく、対症療法をとりながら回復を待つしかありません。
通常は軽症で5日ほどで症状は治まりますが、まれに脳炎などの重い症状を併発する場合があるので注意が必要です。
経過をしっかり観察し、重症に発展する恐れのあるような症状が出ていたらすぐに医療機関を受診してください。

保育園や幼稚園など子どもが集団するような施設では一人感染してしまうと感染拡大を防ぐことは難しく、適切な対処をが必要です。
感染・発症の有無にかかわらず日頃から手洗いや消毒などの感染対策を心掛けましょう。
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この記事を書いた人

コロナ禍の真っただ中で第一子を迎えた事を機に、家族を守っていくためにも感染症や感染症対策についての知識をつけていくことの重要性を痛感しました。
医療従事者の妻から意見を得たり、専門書籍や医療機関の発信情報などを漁り、日々感染症への理解を深めています!

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